大阪府薬剤師会は4日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が、大阪府・大阪市に対して、第8次医療計画に基づく医薬品提供体制の構築等で予算要望を行ったことを報告した。また、医療DXに関しても言及し、「8月18日よりJCHO大阪病院(旧大阪厚生年金病院)が電子処方箋発行を開始した。大阪の広域病院での電子処方箋発行は初めてである」と紹介した。
会見では、11月10日に対面方式で開催される第26回近畿学術大会の見所も発表された。
大阪府・大阪市への予算要望は、大阪府に8月21日、大阪市に8月30日に行ったもの。現在、わが国では、2025年を目途に高齢者の尊厳の保持・自立生活支援の目的のもと、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるように地域包括ケアシステムの構築を進めている。
大阪府薬においても会員薬局・薬剤師が「かかりつけ機能」、「健康サポート機能」を有し、地域への医薬品及び情報提供機能の充実を図るとともに、地域連携薬局・専門医療機関連携薬局が地域・圏域ごとに的確・遠隔に機能するよう地域医療提供体制に参画している。
また、2024年度からスタートする第8次医療計画において、大阪府は新興感染症発生・蔓延時や災害時等に備えた医療体制を整備するとともに、人口構造の変化や医療従事者の確保状況を踏まえ、超高齢化社会・人口減少社会における持続可能な医療体制の構築を目指しており、その実現においては地域薬局・薬剤師役割も大きい。
こうした中、大阪府薬では大阪府、大阪市に対して、①薬局における物価高騰・賃金上昇への対応に関する財政支援、②第8次医療計画に基づく医薬品提供体制、③学校における「くすり教育」等の充実・強化、④災害時における医薬品確保体制の整備並びに薬局薬剤師の参画・活用、⑤学校環境衛生検査の全検査項目実施に向けた取組み、⑥地域フォームラリの推進ーを要望。
大阪市には、これに加えて、教育委員会における薬剤師の学校技師職の設置の7項目を要望している。
その中で、地域フォーミュラリは、八尾市等で実施されているモデル事業を展開すべく、地域における標準的な薬物治療を円滑的実施するためのルールを策定し、地域医療の向上のため大阪府内全域に展開していけるように活動を推進している。2024年度は、守口市が新たにモデル地区として加わり同活動を展開している。
大阪市への教育委員会における薬剤師の学校技師職の設置要望については、2020年4月より大阪府において教育長に薬剤師の学校保健技師職が配置され、学校などにおける新型コロナウイルスの迅速な対応などが可能となった。
大阪市も教育委員会に薬剤師の学校技師職を設置することで、学校薬剤師が学校保健技師職(薬剤師)と十分に連携を図りながら、さらに薬剤師職能が発揮できる環境作りを要望している。
大阪では、広域病院のJCHO大阪病院(旧大阪厚生年金病院)が電子処方箋発行を開始したが、全国の各医療機関における電子処方箋管理システム普及率(7月28日現在)は、薬局39.9%(大阪府内41.5%)、病院1・8%、診療所3.7%、歯科医院0.2%で、病院、診療所、歯科医院の普及率は依然として低いのが現状だ。
第26回近畿学術大会は11月10日にマイドームおおさか、シティプラザ大阪で「地域と薬剤師の調和~創造力とコミュニケーション能力が未来への澪標(みおつくし)~」をメインテーマに開催される。
2000人の参加者が見込まれる同大会では、森下竜一大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座教授が、「2025大阪・関西万博から考える2050年のミライ医療:薬剤師の果たす役割とは」をテーマに特別記念講演を実施する。
日本薬剤師会会長特別講演では、岩月進日薬会長がこれからの薬剤師・薬局について言及する。
日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の中医協委員3人が講演する「分化会1:調剤報酬・診療報酬改定~中医協委員からみた今後の診療報酬改定の展望~」、「分科会4:医療DXの取組の現状」も見どころの一つとなっている。