明治は、ヨーグルトの摂取頻度の高さが免疫細胞であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性化と関連性があることが示唆される結果を得たと発表した。
一般成人を対象に免疫指標と生活習慣との関連を観察研究において調査したもので、同研究成果は「薬理と治療」2024年52巻3号に掲載された。研究成果の概要は、次の通り。
①ヨーグルトの摂取頻度の高さが免疫細胞であるNK細胞の活性化と関連性があることが示唆された。
②ヨーグルトの摂取習慣がないグループと比較して、ヨーグルトを週3日以上摂取する習慣があるグループでは、NK細胞活性が有意に高いことが分かった。
③免疫指標である唾液中のsIgA※2分泌速度は年齢が若いほど高い値を示すことが示唆された。
以上の結果から、加齢に伴う免疫機能の低下に、ヨーグルトの摂取が有効な方策となる可能性が示唆された。
明治は、免疫に関わる研究を長年実施する中で、より健康的な生活を送るには「免疫状態」が重要だと考えており、コロナ禍を経て「自身の免疫状態を高めたい」というニーズも一段と高まっていると捉えている。日々の食生活に取り入れやすいヨーグルトの免疫機能維持の可能性についての研究に取り組み、ヨーグルト商品を提供していくことで、顧客の健康的な食生活に貢献していきたいと考えている。
そこで、20歳以上の男女を対象に、免疫指標であるsIgAやNK細胞活性の測定と生活習慣に関するアンケート調査を実施し、免疫指標と生活習慣の関係を評価する観察研究を行った。
具体的には、研究に参加した542名全員にsIgAの測定と生活習慣に関するアンケート調査を実施し、sIgA分泌速度の外れ値を除外した481名で解析を実施した。また、検査を希望した149名に対して、NK細胞活性の測定を行った。
その結果、唾液中のsIgA濃度およびsIgA分泌速度について生活習慣や対象者の属性との関係を検討したところ、外れ値を除外した解析においてsIgA分泌速度は年齢が高いほど低値を示すことが示唆された(相関係数=-0.1063)。
さらに、ヨーグルトの摂取頻度とNK細胞活性にも関連性(相関係数=0.1666)があることが示唆された。
ヨーグルトの摂取頻度が高い人(週3日以上の摂取習慣がある人)、低い人(週2日以下の摂取習慣がある人)および摂取習慣がない人(食べない、またはほとんど食べない人)のNK細胞活性を比較したところ、ヨーグルトの摂取習慣がない人と比較して、摂取頻度が高い人のNK細胞活性は高値を示した(図)。
同研究結果から、ヨーグルトの摂取頻度の高さは、NK細胞活性の高値と関連することが示唆された。今後、さらなるデータを蓄積することで、免疫状態と生活習慣や対象者の属性に関するエビデンスが拡充されることが期待される。