小野薬品の株主総会が20日、大阪市内のホテルで開催され、相良暁社長が本庶佑京大特別教授とのオプジーボ特許の対価を巡る問題ついての現況を報告。「小野薬品からは、2006年に契約した内容における対価の上乗せをするのではなく、若手研究者育成するという趣旨で京大への寄付を申し入れている」と説明し、本庶氏とは「今後も真摯に話し合いを継続していく」考えを強調した。
オプジーボの抗PD-1抗体特許は、2006年に本庶氏の合意のもとにライセンス契約を締結。小野薬品は、オプジーボを発売した2014年より、契約に基づいた対価を、四半期ごとに本庶氏に支払っている。
2011年に本庶氏から対価見直しの要請があり、「できる限り誠意をもって話し合いをしている」(相良氏)が合意には至っていないのが現状だ。
相良氏は、「小野薬品では、昨年11月、2006年の契約内容について対価の上乗せするのではなく、若手研究者育成の趣旨で京大への寄付を申し入れている。今後も先方との話し合いを真摯に適切に正直に継続していく」と強調。
その上で、「寄付金額は本庶先生が希望しているほど大きな規模のものではない」と明言し、「京大に一定規模の寄付をする際には、株主還元も併せて検討する」考えを示した。
また、「小野薬品の株価が期待に見合わない現状」にも言及し、その主な要因としてオプジーボの「予期せぬ薬価改定」と「世界で患者数の最も多い肺がんの1次治療での開発失敗」を指摘。
「薬価は、当初の1/4になったが、薬価問題は一段落した。肺がんの一次治療については、19年度下期に申請を予定している」と説明し、これらの好材料により「オプジーボの新たな成長が期待できる」と訴求した。