塩野義製薬は26日、抗HIV持効性注射剤「Cabenuva」(カボテグラビルおよびリルピビリン)について、データ安全性モニタリング委員会が、無作為化の中止および経口治療からCabenuvaによる治療への切り替えに移行できる選択肢を与えるように推奨したと発表した。塩野義製薬がGSKおよびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社が公表したもの。
同委員会の推奨は、服薬アドヒアランスに課題のあるHIV患者を対象としたLATITUDE試験の中間解析結果で、毎日服薬が必要な経口治療と比較した持効性注射剤Cabenuvaの優越性が示されたことに基づいている。
Cabenuvaは、HIV治療における世界初の持効性注射剤であり、欧米、中国および日本を中心に、1ヵ月または2ヵ月に1回の投与で治療を可能とするHIV治療薬として承認されている。
LATITUDE試験は、服薬アドヒアランスに課題のあるHIV患者を対象として、経口治療と比較した際のCabenuvaによる治療の有効性、安全性および忍容性の検証を目的とする試験である。
全ての被験者は、ドルテグラビルやビクテグラビルのレジメンを含む、少なくとも3種類以上の薬剤を組み合わせた経口治療を開始し、その後、4週間に1回のCabenuva投与群と経口治療を維持する群に無作為に割り付けられ、治療を継続。結果として、Cabenuva投与群は経口治療群に対し、持続的なウイルス量の抑制において優越性を示した。
同試験は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が資金提供する世界最大のHIV研究ネットワークであるThe AIDS Clinical Trials Group (ACTG)によって実施されている。
ACTGのデータ安全性モニタリング委員会は、当初から予定されていた中間解析を実施し、全てのエンドポイントを総合的に検証した上で、Cabenuvaによる治療は毎日服薬が必要な経口治療よりも優れた有効性を示していると結論付け、全ての適格な被験者に対するCabenuvaによる治療を推奨した。
なお、最終的な解析結果は、今後の国際学会にてヴィーブ社により発表される予定である。
服薬アドヒアランスの低下は、持続的なウイルス量の抑制を妨げる主要因であり、HIV流行の収束のためには、HIV患者に合わせた治療を提供することが求められている。
塩野義製薬は、今後もヴィーブ社との密な連携により事業を推進することで、HIV感染症治療と予防の両面で、権利を導出したドルテグラビル、カボテグラビルならびにS-365598の価値最大化を通じたグローバルヘルスへの貢献を果たしていく。
なお、同件が2024年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微である。