GAMMAGARD LIQUID 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎治療薬として米国FDAが承認 武田薬品

 武田薬品は30日、GAMMAGARD LIQUID(静注用人免疫グロブリン製剤10%)について、米国FDAが成人の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)治療薬として承認したと発表した。
 対象は、CIDPの成人患者における神経筋障害および機能障害改善。今回、GAMMAGARD LIQUIDは、CIDPの適応で承認され、成人の筋力および障害を改善する維持療法における多巣性運動ニューロパチーの治療薬としてFDAが承認した唯一のIVIGであるため、米国において複数の神経筋障害の適応を有する唯一のIVIGである。
 また、米国では2歳以上の原発性免疫不全症の患者さんに対する補充療法としても承認されている。
 GAMMAGARD LIQUIDは、導入時用量とそれに続く維持時用量が含まれる導入療法として使用できる。CIDPの治療について同剤は、免疫グロブリン製剤未投与の患者に対して、または6か月を超える期間の維持療法としては検討されていない。
 このマイルストーンは、先日、成人のCIDP患者の神経筋障害および機能障害の再発予防の維持療法としてHYQVIA(皮下注用人免疫グロブリン10%/遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ)がFDAにより承認されたことに続くもの。
 HYQVIAは、唯一の人免疫グロブリン(IG)とヒアルロニダーゼの組み合わせ製剤であり、皮下注用人免疫グロブリン製剤である。
 同承認は、成人のCIDP患者におけるHYQVIAの有効性、安全性および忍容性を評価する無作為化プラセボ対照二重盲検試験(ADVANCE-CIDP 1)において再発した成人のCIDP患者を対象にGAMMAGARD LIQUIDの有効性および安全性を評価した前向き非盲検単群多施設共同臨床試験(ADVANCE-CIDP 2)の結果に基づくもの。     ADVANCE-CIDP 2試験の有効性は、機能的障害の改善を示した被験者と定義したレスポンダーの割合に基づいている。レスポンダーの割合は、94.4%(N = 18、95%信頼区間:74.2%~99.0%)であった。
 握力の改善と総合障害スケール(R-ODS)スコアの変化を全被験者にわたって記録した。
 臨床試験の患者の5%以上でもっともよくみられた副作用は、頭痛、発熱、貧血、白血球減少症、好中球減少症、疾患、血中クレアチニン増加、浮動性めまい、片頭痛、傾眠、振戦、鼻乾燥、上腹部痛、嘔吐、悪寒、上咽頭炎、四肢痛であった。
 CIDPは、末梢神経系に影響を及ぼす希少で後天的な免疫介在性の神経筋疾患である。四肢の遠位および近位における脱力、ピリピリ感または感覚消失、反射消失、歩行困難など、進行性の左右対称性の症状を特徴とする。
 CIDPの症状は、他の希少な神経筋病態と重複するケースがあるため、誤診される場合がある。成人患者のCIDP治療における免疫グロブリンの作用機序は完全には解明されていないが、免疫調節作用が関与していると考えられている。

◆リチャード・アスクロフト武田薬品シニア・ヴァイス・プレジデント、プラズマ デライブド セラピーズ ビジネス ユニットの米国ヘッドのコメント
 GAMMAGARD LIQUIDのCIDP治療薬としての承認は、希少な神経筋疾患に罹患する患者さんのために血漿分画製剤療法を推進し、これらの患者さんに差別化されたIG療法のポートフォリオをお届けするという、当社の数十年にわたる取り組みを実証するものである。
 最近、米国で承認されたHYQVIAと合わせて、成人のCIDP患者さんに、それぞれの治療ニーズに応じた導入療法および維持療法の選択肢を提供できるようになった。

◆Mamatha Pasnoorカンザス大学メディカルセンター神経内科教授のコメント
 CIDPの標準治療であるIG療法は、免疫調節機序を介して、低下した免疫機能の正常化を促進すると考えられている。CIDPは進行性の複合疾患であるため、複数の治療選択肢が必要であり、臨床医は成人のCIDP患者さんが疾患を管理する上で役立つ追加の治療薬を手にした。

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