オプジーボ皮下注 腎細胞がんP3試験で同点滴静注に比べて非劣性を示す 小野薬品

 小野薬品は29日、オプジーボの皮下注(ニボルマブとヒアルロニダーゼ)について、進行または転移性淡明細胞型腎細胞がんを対象としたP3試験(CheckMate -67T試験)において、オプジーボ点滴静注に対して非劣性を示したと発表した。提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が27日に公表したもの。
 全身療法による治療歴を有する進行または転移性淡明細胞型腎細胞がん(ccRCCを対象に、Halozyme社の組み換えヒトヒアルロニダーゼ(rHuPH20)を配合したオプジーボ皮下注をオプジーボ点滴静注(IV)と比較評価したP3相CheckMate-67T試験において、オプジーボの皮下注が、2つの主要評価項目であるCavgd28(初回投与後28日目までのオプジーボの平均血清中濃度)およびCminss(定常状態における最低血清中濃度)においてオプジーボ点滴静注に対する非劣性を示したもの。
 加えて、オプジーボ皮下注は、盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による奏効率(ORR)においてオプジーボ点滴静注に対する非劣性も示した。これらの結果は、25日~27日に開催された2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿器がんシンポジウムで発表された。
 CheckMate -67T試験では、進行または転移性ccRCC患者を対象に、オプジーボの皮下注群(248例)をオプジーボ点滴静注群(247例)と比較評価した。各項目の結果は次の通り。

◆Cavgd28:初回投与後28日目までの平均血清中濃度において、オプジーボ点滴静注群に対するオプジーボの皮下注群の非劣性が示され、幾何平均比は2.098(90%信頼区間 [CI]: 2.001 – 2.200)であった。

◆Cminss:定常状態における最低血清中濃度において、オプジーボ点滴静注群に対するオプジーボの皮下注群の非劣性が示され、幾何平均比は1.774(90% CI: 1.633 – 1.927)であった。

◆ORR:主な検出力のある副次評価項目であるBICRの評価によるORRにおいても、オプジーボの皮下注群の非劣性が示され、ORRは、オプジーボの皮下注群で24.2%、オプジーボ点滴静注群では18.2%であった(相対リスク比 [RR] 1.33;95% CI: 0.94 – 1.87)。

◆PFS:BICRの評価によるPFSの中央値は、オプジーボの皮下注群は7.23カ月、オプジーボ点滴静注群は5.65カ月であった。

◆安全性:オプジーボの皮下注群の安全性プロファイルは、オプジーボ点滴静注群のものと一貫していた。オプジーボの皮下注群の局所注射部位反応の発現率は8.1%であった。また、低グレードであり一過性であった。グレード3~4の有害事象(AE)の発現率は、オプジーボの皮下注群(247例)では35.2%、オプジーボ点滴静注群(245例)では40.8%であった。治療に関連したAEの発現率は、オプジーボの皮下注群で9.7%、オプジーボ点滴静注群では14.7%で、重篤なAEの発現率は、オプジーボの皮下注群で21.1%、オプジーボ点滴静注群では22.9%、治療に関連した重篤なAEの発現率は、両群ともに6.5%であった。

◆Saby George Roswell Park Comprehensive Cancer Center内科部門腫瘍内科教授兼ネットワーク臨床試験ディレクター(M.D.、F.A.C.P.)のコメント
 組み換えヒトヒアルロニダーゼを配合したオプジーボの皮下注のCheckMate -67T試験の結果は、医師や患者さんにとって、がん研究における画期的な進歩を示している。免疫療法薬を皮下投与する選択肢があることは、がんと診断された患者さんが現在抱えている治療の負担を間違いなく減らすことができる上、ヘルスケアシステムを最大限に効率化することもできる。
 現状では、免疫療法薬の点滴静注は貴重な時間を費やすことになり、時間は患者さんにとっても治療する側の医師にとっても大変貴重なものだ。
 従って、オプジーボの皮下注が非劣性を示した今回の結果は、診療に変化をもたらし、5分以内に、また場合によっては点滴施設外で投与できる1回の注射により患者さんの治療を改善できる可能性がある。

◆Gina Fusaro BMSバイスプレジデント兼グローバル開発プログラム責任者(Ph.D.)のコメント
 CheckMate-67T試験のこれらの結果は、固形がんにおける免疫療法の使用に関する我々の深い科学的知見、および患者さんの生活の質を向上を探究するという当社のコミットメントに基づいている。
 今回、オプジーボの皮下注を評価した最初の研究がオプジーボ点滴静注に対する非劣性を示し、オプジーボの皮下注が新たな選択肢としてヘルスケアを効率化できる可能性を後押ししたことを発表できるのを非常にうれしく思う。
 利便性の観点で、免疫療法薬の皮下投与は重要な利点であり、我々はこの治療法が患者さんの負担を軽減し、患者さんと医療提供者に多大な柔軟性をもたらす可能性に期待している。今後、複数のがん腫を対象に、オプジーボの皮下注に関する次のステップについて規制当局と協議する予定である。

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