辻村明広三菱ケミカルグループ執行役エグゼクティブバイスプレジデントファーマ所管(田辺三菱製薬代表取締役)は1日、三菱ケミカルグループ2024年3月期第2四半期決算説明会で、5月12日に公表した医薬品事業(田辺三菱製薬)の2023年度通期予想を上方修正する大きな要因となった米国でのALS(筋萎縮性側索硬化症)治療薬「ラジカヴァ経口剤」の好調要因について説明した。
「ラジカヴァ経口剤を発売した後に、競合製品が発売された。これを鑑みて当社では、ALSの専門医だけでなく神経クリニックにもラジカヴァ経口剤を浸透させたのが大きく伸長する要因となった」と分析。
その上で、「今後も引き続き製品最大化に尽力していく」考えを強調した。
2024年3月期第2四半期の医薬品事業(田辺三菱製薬)の業績は、売上収益2194億円(前年同期比8.0%増)、コア営業利益325億円(同668.9%増)、営業利益445億円(同1451.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益373億円(同4494.6%増)。
国内医療用医薬品で薬価改定等の影響を受けたものの乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬「ステラーラ」、潰瘍性大腸炎治療薬「シンポニー」などの重点品や、米国で発売したラジカヴァ経口剤「「RADICAVA ORS」の販売が順調に推移し、売上収益は増加した。
コア営業利益は、売上収益の増加に加え、メディカゴ社の事業撤退に伴う研究開発費等の減少により、増加した。営業利益も、2022年度に実施したコスト構造改革により、大幅増益となった。
2024年3月期の製品売上収益予想は、海外のラジカヴァが468億円から805億円に、国内のステラーラが576億円から661億円に上方修正された。海外ラジカヴァ経口剤の好調を踏まえて上方修正した3月期通期業績予想は次の通り(カッコ内は前回予想との増減額)。
売上収益4360億円(475億円増)、コア営業利益580億円(380億円増)、営業利益680億円(450億円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益535億円(405億円増)。