第一三共は1日、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201、抗HER2抗体薬物複合体[ADC])について、米国FDAよりHER2陽性の複数の固形がんに対する米国食品医薬品局による2つの「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)」指定を受けたと発表した。
対象は、前治療歴があり代替の治療手段のない切除不能または転移性のHER2陽性(IHC3+)固形がん患者への治療、および切除不能な進行・再発のHER2陽性(IHC3+)大腸がん患者への三次治療以降。
今回の2つの「画期的治療薬」指定は、前治療歴のあるHER2発現の転移性固形がん(胆道がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、膵臓がんおよび希少がん)患者を対象としたP2試験(DESTINY-PanTumor02)や、HER2陽性の切除不能な進行・再発大腸がん患者を対象としたP2試験(DESTINY-CRC01およびDESTINY-CRC02)等の結果に基づくもの。
今回の指定により、同剤の「画期的治療薬」指定は7つとなった。同剤は、これまでにHER2陽性の再発・転移性乳がんの三次治療、HER2陽性の再発・転移性乳がんの二次治療、HER2低発現の再発・転移性乳がん治療、HER2遺伝子変異を有する転移性非小細胞肺がん治療およびHER2陽性の再発・転移性の胃がん治療を対象として、FDAより「画期的治療薬」指定を受けている。
また、同剤ががん種横断的に「画期的治療薬」指定を受けたのは今回が初めてとなる。
第一三共は、HER2陽性の多くのがん患者に対し、がん種横断的に同剤を届けられるように当局との協議を進めていく。