塩野義製薬は26日、米国Qpex社(本社:サンディエゴ)を完全子会社化とする契約を25日に締結したと発表した。同社完全子会社化は、広域阻害スペクトラムを有するβ-ラクタマーゼ阻害剤獲得、抗菌薬研究開発のケイパビリティと米国でのネットワーク強化を目的としたもの。
Qpex社は、薬剤耐性(AMR)を持つ細菌を標的とする新規抗菌薬の創薬・開発に焦点を当てた製薬企業で、多様なβ-ラクタマーゼに対して広域阻害スペクトラムを有する新規β-ラクタマーゼ阻害剤であるボロン酸誘導体Xeruborbactam1を創出している。
Xeruborbactamは、薬剤耐性グラム陰性菌によって引き起こされる感染症に対して、カルバペネム系抗生物質meropenemを併用薬とする注射剤OMNIvanceとセフェム系抗生物質ceftibutenを併用薬とする経口剤ORAvanceとしてP1試験が進められている。
また、Qpex社は、新規抗菌薬の探索や臨床開発の豊富な経験を有しているのみならず、米国において生物医学先端研究開発機構(BARDA)をはじめとする各規制当局などとの多様な外部ネットワークを構築している。
Qpex社のAMRに対する有望な開発品や抗菌薬研究開発のケイパビリティ、米国における外部ネットワークは、塩野義製薬のビジネスの方向性と合致しており、シナジー効果発揮が期待できるため、今回、同社を完全子会社化する契約の締結に至った。
同契約に基づき、塩野義製薬は、対価として手続き完了時に一時金1億ドルを米国子会社Shionogi Inc.(本社:ニュー・ジャージー州)を通じてQpex社の既存株主に支払う。
また、今後のQpex社が有する開発品の進展や承認取得に応じたマイルストンとして、最大で総額4000万ドルをQpex社の既存株主に支払う。
今後、Qpex社はShionogi Inc.の子会社として事業を継続する予定である。Qpex社子会社化によって獲得できる開発品と感染症研究・開発のノウハウは、次の通り。
◆Xeruborbactamの独占的開発・製造・販売権をグローバルで獲得
◆深刻化するAMRと戦うためにXeruborbactamと他の抗菌薬との組み合わせで開発を推進
◆抗菌薬の研究・開発経験が豊富な人材を獲得し、米国における感染症創薬をドライブできる体制の構築
◆BARDAをはじめとする各規制当局、学術的なパートナーなど、Qpex社の貴重な外部ネットワークの取り込みによる、感染症領域におけるパートナリングやパイプライン拡大の機会創出と研究戦略の加速化