カピバセルチブとフェソロデックス併用療法 米国でHR陽性進行乳がん治療薬での優先審査指定取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカは21日、カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法について、新薬承認申請(NDA)が受理されHR陽性進行乳がんの治療薬として米国で優先審査指定を取得したと発表した。
 対象は、内分泌療法中もしくは治療後に再発または病勢進行したホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体 2(HER2)陰性の局所進行性または転移性乳がんの成人患者。
 米国FDAは、現在利用可能な選択肢よりも大幅な安全性または有効性の向上、重篤な状態の予防、または患者におけるコンプライアンスの向上に繋がる医薬品の承認申請に対し、優先審査対象として指定している。
 処方箋医薬品ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAが目標とする審査の判断期日は、2023年第4 四半期中である。また、今回のNDAの審査は、FDA 主導による「Project Orbis」の下で行われる。
 「Project Orbis」は、参加する国際パートナー国間で抗がん剤の承認申請を共同で審査する枠組みであり、世界中の患者のために迅速な承認を促す取り組みである。
 乳がんは、世界で最も一般的ながんであり、毎年推定230万人の患者が新たに診断されている。米国では、2023年には29万人以上の患者が診断され、4万3000 人以上が死亡すると推計されている。
 乳がんの65%以上はHR 陽性かつHER2低発現または陰性と考えられている。HR陽性乳がんの治療には内分泌療法が広く用いられているが、進行性の乳癌患者の多くは一次治療のCDK4/6阻害薬と内分泌療法に対する耐性を獲得しているため、さらなる治療選択肢が必要である。
 今回のNDAは、2022年サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表されたP3相 CAPItello-291試験のデータと、最近The New England Journal of Medicine誌電子版に掲載されたデータに基づくもの。
 同試験では、カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法が、全試験集団においてフェソロデックス単独と比較して病勢進行または死亡のリスクを40%低減させた(ハザード比[HR]0.60、95%信頼区間[CI]0.51-0.71;p=<0.001;無増悪生存期間(PFS)中央値 7.2 カ月対3.6カ月)。
 全生存期間(OS)データは解析時点ではイベント数が不十分であったが、初期のデータは有望である。同試験では主要な副次評価項目として OS を引き続き評価する。
 カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法の安全性プロファイルは、この併用療法を評価した過去の試験で観察されたものと類似していた。カピバセルチブは2023年1月、この疾患の患者を対象に、FDA から迅速承認対象に指定された。
 なお、フェソロデックスの HR 陽性進行乳がんに対するカピバセルチブとの併用療法およびカピバ
セルチブは本邦未承認である。

◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 今回の優先審査指定の取得は、現在広く使用されている治療法に対して病勢進行または耐性となった HR 陽性乳がん患者さんに対しても、カピバセルチブが内分泌治療の有効性を拡大する可能性を裏付けている。
 FDAと協力して、このファーストインクラスとなり得る AKT阻害薬をできるだけ早く患者さんにお届けできること期待している。

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