2022年米国に次いで二番目の業績達成 日本イーライリリートムセン社長

 日本イーライリリーは25日、東京都内で社長会見を開催し、シモーネ・トムセン社長が2022年業績ハイライトおよび主要製品を中心とした今後の成長戦略について発表した。
 トムセン社長は、2022年業績を振り返り、「日本は、米国に次いで二番目の業績を達成した。全売上高に占める新製品・成長製品群の割合は前年の53%から76%へと大幅に拡大した」と報告。
 その上で、「リリーにとって日本が引き続き重要な市場であることは変わらない。日本発のイノベーションを創出し、今後のさらなる成長に備えた投資を重ねていくことで、医薬品を日本の患者にお届けしたい」と抱負を述べた。
 会見でトムセン社長は、日本の社会課題解決に向けた同社のコミットメントとして、「円形脱毛症と向き合うプロジェクト」、「行政との協業」、「ヤングケアラープロジェクト」を指摘。
 円形脱毛症については、「“思い込み”を解き、世間からの視線に苦しむ患者を取り巻く社会を少しでも“思いやり”のある環境に変えていきたい」と強調した。
 行政との協業では、「神戸市、KBICとの協定締結による神戸をグローバル開発拠点としての治験を推進」、「認知症に関する臨床研究推進のための臨床試験参加希望者ネットワークを構築」を挙げた。
 ヤングケアラープロジェクトでは、「本来⼤人が担うと想定されている家事や家族の世話、介護 、感情面のサポートなどを日常的に行っている子どもたち(ヤングケアラー)の未来への選択肢を増やす取り組みを進めている」
 2022年の業績は、売上高2167億円(対前年比13%減)で、その内訳は、新製品・成長製品1637億円(同24%増)、成熟製品531億円(55%減)。
 2022年の新製品・成長製品群の売上高は前年に比べて24%増、販売数量も26%増と大幅な伸びを達成し、抗うつ薬「サインバルタ」(67.3%減)や骨粗鬆症治療薬「フォルテオ」(35.0%減)など大型製品の特許切れに伴う影響を緩和した。
 一方、2022年の承認取得・適応追加状況は、次の通り。

・ 片頭痛治療剤 「レイボー」: セロトニン1F受容体への選択性を有する、世界初のジタン系片頭痛治療剤として承認取得(1 月 20 日。 上市: 6 月 8 日)

・抗悪性腫瘍剤「レットヴィモ」:“RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌”および“RET 遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌”に対する治療薬として承認取得 (2月25日)

・SGLT2 阻害薬「ジャディアンス」: 左室駆出率を問わない成人慢性心不全患者の治療薬としての使用が可能になる電子添文の改定(4月6日)。本年1月には、慢性腎臓病(CKD)の適応追加承認申請を行っている。

・経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤「オルミエント」: 円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)に対する適応追加の承認取得(6月20日)

・ヒト化抗ヒト IL-17A モノクローナル抗体製剤「トルツ」:注射部位疼痛の軽減を目的とした添加剤変更品の承認取得 (9月26日)

・持続性 GIP/GLP-1 受容体作動薬「マンジャロ」: 2 型糖尿病を効能又は効果として承認取得(9月26日)本年4月18日発売。医療従事者へのマンジャロに関する情報提供活動は田辺三菱製薬と共同で行う。

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