LC-MSデータからの核酸解析で核酸医薬創薬を支援
三井情報は9日、核酸解析プラットフォーム「AQXeNA(アクジーナ)」を用いた受託解析サービスの提供を開始したと発表した。
同サービスはユーザが測定したLC-MSデータから核酸関連物質を同定・定量し、質量分析の知見をもつ技術者がユーザに代わってデータを分析して解析結果とフィードバックを提供するもの。
バイオ医薬品業界をリードするオンラインマーケットプレイス「Scientist.com」を通じて、世界中の研究者が利用できる。三井情報は、核酸医薬やmRNAワクチンの創薬・研究開発に求められている解析技術を提供することで、多くの研究者を支援していく。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症予防を目的としたmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンの短期開発をきっかけに、核酸医薬の開発に取り組む製薬企業が増えてきた。三井情報では従前より核酸医薬の開発を支援するために2020年に核酸解析プラットフォーム「AQXeNA」の提供を開始し、2022年にはmRNAの解析機能を強化した。
だが、核酸をシーズとした医薬品の開発は標準的な解析の手法が定まっておらず、世界でも核酸の質量分析にかかる知見を持つ研究者はまだ多くない。そのため、従前よりユーザからLC-MSデータの核酸解析を望む声があり、同サービスの提供を開始。今回、三井情報は本サービスをScientist.comから提供し、国内外のユーザがAQXeNAを更に活用できるようにした。受託解析サービスのポイントは、次の通り。
・質量分析を用いた詳細な核酸構造の分析
核酸を用いた医薬においては、対象試料に含まれる核酸の配列だけでなく、配列内の構造までも正確に同定することが求められる。
質量分析を用いた核酸解析では、核酸配列の内部詳細構造や修飾核酸を含む長鎖核酸配列の解析が可能である。
・解釈のサポートを含めたフィードバック
三井情報は2010年より質量分析を活用した分析プラットフォームを提供しており、2018年よりLC-MSデータからの核酸解析に取り組んできた。そこで培ったノウハウを活かしてユーザが求める解析内容にカスタマイズし、結果の報告には解釈のサポートを含めたフィードバックを提供する。
・各質量分析装置ベンダーのデータフォーマットに対応
AQXeNAは各質量分析装置のデータフォーマットに対応しており、ユーザは解析ソフトウェアに依存することなく最適な質量分析計で測定したデータの解析を三井情報へ依頼できる。
三井情報では、産学連携を通じて得られた研究結果を、IT技術と組み合わせて社会実装することにより、約半世紀にわたり国内外のバイオインフォマティクス分野に貢献してきた。同社は、今後もバイオサイエンス、創薬およびヘルスケア分野におけるIT利活用の促進を通じて、全人類の健康と発展を支援していく。