町田市未来づくり研究所(町田市企画政策課内、所長:市川宏雄氏)は、「アフターコロナにおけるこれからの郊外都市のあり方」に関する施策提言に向け、中間報告として、2030年までの実現を目指す「施策の方向性」を発表した。
この「施策の方向性」をもとに、具体的な施策について検討を行い、今後、町田市に提言する予定だ。施策の方向性の要旨は、次の通り。
1、魅力的な郊外生活の創造
【調査結果より】
外出規制下ではデジタルな手法により対人接触を回避する一方、区市町村内での活動が増え、身近な地域を見つめ直す機運が生まれた。自然環境が求められ、歩いてまわれるウォーカブルなまちが求められている。
【施策の方向性】
市民のQOLを高めるため、テクノロジーとフィジカルのバランスに配慮しながら交流や心身の健康、自立を支える生活環境を実現する。
2、ヒューマンリソースの多様な活用
【調査結果より】
コロナ禍ではテレワークができない対人サービスに携わる人達は働く機会を奪われた。中でも女性非正規雇用者への経済的打撃は大きかった。市内有効求人倍率は都平均を下回り、女性就労率は低く打開策が必要。
【施策の方向性】
組織に属さない働き方や、時間・場所等に制約されないしなやかな働き方に対する潜在ニーズに応え、社会全体の生産性の向上を図る。
3、シェアリングの拡充
【調査結果より】
同市のコワーキングスペース数は都内市部では最多の集積で、施設の付加価値を高め差別化する動きもみられる。コロナ禍が落ち着いた後も需要が見込まれ、創業支援や交流拠点としての役割も期待される。
【施策の方向性】
「所有」から「利用」へ社会の価値観がシフトするのに合わせて、シェアリングを積極的に活用する。
4、エリア・アントレプレナーの活躍
【調査結果より】
政府のコロナ対策により倒産件数は低く抑えられているものの、その中でコロナ関連の倒産件数は増加している。地域経済を早期回復に向けて、意欲ある創業希望者がチャレンジしやすい環境の整備が急がれる。
【施策の方向性】
創業・開業にかかるハードルの低減に努め、新しいビジネスに挑戦しやすいまちに進化させる。創業及び集客にシナジーを生むソフト・ハードの仕組みを構築する。
5、MaaSの伸展
【調査結果より】
鉄道もバスもコロナ禍で乗客数が大きく減少したまま以前の水準まで回復が見込めていない。一方、現行の交通手段の隙間を埋める新たな交通サービスも生まれており「移動の付加価値化」の点で連携が必要になる。
【施策の方向性】
Maasに取り組む事業者の知見を活かしながら、地域交通を相互補完し、域内の移動総量を増やすような交通の体制づくりに取り組む。
6、公民連携の推進
【調査結果より】
社会が複雑化し、少子高齢化も進展するなか、行政はフルセットのサービスを提供することが難しくなりつつある。社会課題を共有し、協働することによる新しい解決方法を見出す必要がある。
【施策の方向性】
社会課題の発見から公民が一緒に取り組み、大きな目的を共有しながら新たな価値の共創をめざす。