武田薬品は15日、LIVTENCITYについて、移植後の既存療法のいずれか1種類以上に対して抵抗性を示す難治性のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬としての販売承認を欧州委員会(EC)より取得したと発表した。
対象は、造血幹細胞移植(HSCT)または固形臓器移植(SOT)4後の、既存療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、シドフォビル、ホスカルネットのいずれか1種類以上の前治療)に抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症の成人患者。
LIVTENCITYは、CMV特異的UL97プロテインキナーゼとその天然基質を阻害する最初で唯一の経口治療薬である。
CMVは、移植後の患者が経験する最もよくみられる感染症のひとつで、世界における推定発現率はSOT後の患者で16~56%、HSCT後の患者で30~80%である。
2019年に欧州および近隣諸国において3万4000件超のSOT(肝臓、腎臓、心臓移植を含む)と4万8000件超のHSCT8が実施された。使用可能な治療薬があるSOTおよびHSCT患者では、CMV感染の予防および管理が転帰の改善に有用となる場合があるが、予防薬を使用してもブレイクスルー感染が発生する可能性があり、一部のCMV感染は治療に反応しない場合がある。
中央審査による販売承認は、すべてのEU加盟国ならびにアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよび北アイルランドで有効である。
今回の承認は、HSCTおよびSOT移植後の既存療法のいずれか1種類以上に対して抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性の成人患者の治療薬として、従来の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、シドフォビルまたはホスカルネット)に対するLIVTENCITYの安全性および有効性が評価されたP3相SOLSTICE試験に基づくもの。
ECの承認は、米国、カナダ、オーストラリアに続いて、移植後に抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性のCMV感染に対する4番目の承認となる。
◆チアーノ・ポテナEuropean Society for Organ Transplantation(ESOT)Presidentのコメント
我々は、移植患者さんの治療は移植後はるか先まで続くことを理解している。治療がうまくいかなかった場合、CMVは移植患者さんとその医師に難題を突きつけ、多くの場合、臓器拒絶反応の増加、入院率の上昇、医療資源に対する負担の増加を生じさせ、患者さんにとってシステム全体での不平等を及ぼす一因となる。
ECによるLIVTENCITYの承認は、既存のCMV療法のいずれか1種類以上に対して抵抗性(抵抗性無しを含む)を示す難治性のCMV感染を管理するための新たな抗ウイルスアプローチの必要性を受け入れるものである。
◆ラモナ・セケイラ武田薬品グローバル ポートフォリオ ディビジョン プレジデントのコメント
移植を受ける患者さんは、回復までの過程において、自らの免疫系を抑制する医薬品による苦難に直面する可能性がある。治療に対して難治性になっており、それにより移植を脅かしうるCMV感染の追加負荷は、人生のセカンドチャンスを与えられている患者さんに難題を突きつける。
ECのLIVTENCITY承認により、当社はEUおよびEEAにおいて移植後難治性CMVに対する経口抗ウイルス治療薬をさらに提供することができるようになる。