アッヴィは10日、ウパダシチニブについて、クローン病の寛解導入および維持療法の治療薬として国内適応追加承認申請を行ったと発表した。対象は、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期クローン病の寛解導入、および維持療法。
ウパダシチニブは低分子のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤で、 クローン病を適応症とする1日1回投与の経口剤として開発中である。
クローン病は、10代後半から20代での発症が多く、日本国内における患者数は約4万人と年々増加傾向にある指定難病である。
胃腸(または消化管)に炎症が起きることにより、持続的な下痢や、腹痛、直腸出血をきたす慢性、全身性の疾患だ。
進行性の疾患であり、時間経過とともに悪化する。さらにクローン病の徴候・症状は予測できないため、患者にとって身体面だけでなく精神面、経済面でも大きな負担となることもある。
クローン病は、症状が良くなったり(寛解)悪くなったり(再燃)を繰り返すことが多く、長い経過の中で重症化し、入院や手術が必要になることも少なくない。
そのため、クローン病の治療では、できるだけ早期に治療をはじめ、疾患をコントロールして症状が落ち着いている状態(寛解)を維持し、患者のQOLを高めることが重要である。dが、現状の治療法では初期治療が奏功しない一次無効や、治療奏功後に時間の経過と共に効果が減弱する二次無効となる患者も存在する。
こうしたアンメットニーズに応えるため、アッヴィはウパダシチニブのクローン病に対する開発に着手し、今回、適応追加承認を申請した。
さらに、注射など従来の非経口投与の生物学的製剤で治療を行っている患者に対しては、1日1回投与の経口剤として、患者の負担を軽減しうる新たな治療選択として期待される。
今回の申請は、日本人患者を含む複数の国際共同試験データから得られた結果に基づいている。1日1回45mgを投与する寛解導入療法試験では12週時において、1日1回15 mgまたは30 mgを投与する維持療法試験では52週時において、プラセボ群と比較してウパダシチニブ群で有意に多くの患者が、主要評価項目である臨床的寛解および内視鏡的改善を達成した。
これらの試験におけるウパダシチニブの安全性に関する結果は、これまでに確認されたウパダシチニブの安全性プロファイルと概ね一致しており、安全性に関する新たなリスクは認められなかった。