侵襲性肺炎球菌感染症を予防するワクチン FDAが乳児および小児に適応拡大  MSD

 MSDは4日、VAXNEUVANCE(15価肺炎球菌結合型ワクチン)について、生後6週から17歳までの小児への適応拡大の承認をFDAから取得したと発表した。
 これにより同ワクチンは、生後6週以上において、肺炎球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、33Fに起因する侵襲性感染症の予防の適応が承認されたことになる。
 この承認申請では、同社の一部変更申請に対し、FDAによる優先審査(Priority Review)が行われた。VAXNEUVANCEの成分またはジフテリアトキソイドに対する重度のアレルギー反応(アナフィラキシーなど)を示す人には同剤は禁忌である。また、米国疾病予防管理センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)が、VAXNEUVANCEの小児に対する使用について検討し、推奨を行う見込みだ。
 侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)はStreptococcus pneumoniaeまたは肺炎球菌と呼ばれる細菌による感染症である。肺炎球菌には約100種類の血清型と呼ばれる型がありますが、子どものIPDに関与する血清型は限られている。
 血清型3、22F、33FはIPDの小児症例の原因となる血清型のトップ5に入っている。IPDは、入院や死亡につながる場合がある。IPDの例としては菌血症(血液の感染)や髄膜炎(脳や脊髄の周囲の膜の感染)などがあり、長期的な神経障害を合併する場合がある。
 2歳未満の小児は、特にIPDのリスクが高くなる。
 FDAの承認は、乳児、小児、思春期層に対するVAXNEUVANCEの安全性、忍容性、免疫原性を評価する7つの無作為化二重盲検臨床試験のデータに基づくもの。
 臨床試験データでは、同ワクチンの小児に対する4回接種シリーズにより誘導された免疫応答は、現在承認されている13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)と比較して、両ワクチンに共通して含まれる13種類の血清型については血清型特異的免疫グロブリンG(IgG)の幾何平均抗体濃度(GMC)による評価において非劣性を示した。
 副次解析において、PCV13と共通の血清型3と、VAXNEUVANCEのみに含まれる22Fおよび33Fについては、VAXNEUVANCEの小児に対する4回接種シリーズ後に免疫応答の優越性が認められた。
 VAXNEUVANCEとPCV13の臨床上の効果を比較する無作為化対照試験は実施されていない。
 臨床プログラムのデータでは、VAXNEUVANCEの他の一般的な定期接種ワクチンとの同時接種や、PCV13による乳児ワクチンスケジュールの開始後の互換的な使用、肺炎球菌ワクチンの接種歴がない、または他のPCVで接種シリーズを完了していない年齢の高い小児に対するキャッチアップ接種など、さまざまな場面での使用可能が確認されている。また、早産児、HIV感染症や鎌状赤血球症の小児患者などに対するVAXNEUVANCEの使用を支持するデータも得られている。

◆Jefferson Abington Hospitalの小児科部長でPNEU-PED試験の治験責任医師のSteven Shapiro氏のコメント
 小児における侵襲性肺炎球菌感染症の発生率は減少傾向にあるが、5歳未満の子どもにおいて一定の重要な血清型が現在も深刻な状態を引き起こし、死に至る場合もある。
 血清型3、22F、33Fが5歳未満の子どもの侵襲性肺炎球菌感染症の4分の1以上を占めている。VAXNEUVANCEの裏付けとなる力強い臨床データが得られ、FDAの承認を取得したことにより、同ワクチンは小児における予防を更に進める新たな重要な選択肢となる。

◆MSD研究開発本部シニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサーのEliav Barr氏のコメント
 VAXNEUVANCEで当社が目指すのは、侵襲性感染症を引き起こす重要な血清型をより広くカバーし、乳児や小児にとって重大なリスクとなる血清型への強力な免疫応答を提供することである。
 今回の承認により、当社として初となる小児適応を持つ肺炎球菌結合型ワクチン、そしてほぼ10年ぶりとなる新たな小児用肺炎球菌結合型ワクチンを提供し、当社の小児ワクチン開発の歴史に基づき、侵襲性肺炎球菌感染症の予防に対する当社の取り組みをさらに進める。
 治験責任医師と被験者のご家族の皆さんの研究へのご参加、ご協力によりこの節目を迎えることができたことに感謝している。

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