医療機器スタートアップの株式会社ビードットメディカル(本社:東京都)は、開発中の超小型陽子線がん治療装置において、高速スキャニング照射に成功した。
これにより、開発中の装置で高精度なスキャニング照射が可能であることが確認され、副作用が少なく働きながらでもできる陽子線治療の普及実現に近づいた。
近年、陽子線治療は、正常組織への照射を抑えられるスキャニング照射法に期待が高まっている。スキャニング照射法とは、細いペンシル形状のビームを腫瘍形状に合わせて三次元的に照射する方法であり、先端的治療法である強度変調陽子線治療(IMPT)を実現できるため、腫瘍周囲の正常な組織や臓器へのダメージを低く抑えることが可能となる。
加えて高速なスキャニング照射により、呼吸に伴って位置が変動する腫瘍(肺、肝臓など)への治療照射が可能となり、適応が拡大する。
超小型陽子線がん治療装置、製品化最終段階へ
昨年ビードットメディカルは、陽子線がん治療装置用の小型スキャニング電磁石の開発に成功し、従来の電磁石に比べて照射機器から照射位置までの距離を従来の約1/3まで短縮した。
現在は、2022年5月に原理実証に成功した超小型陽子線がん治療装置と組み合わせて試験を重ねており、近日中に照射装置の薬機承認申請を行う予定である。
ビードットメディカルでは、誰もが陽子線治療を受けられる社会の実現に向け、引き続き取り組んでいく。