小野薬品の相良暁社長は31日、中間決算説明会で会見し、「今期末から来年度にかけて、オプジーボ以外の慢性疾患領域を中心とした期待の新製品4品目を上市する」計画を明らかにした。オプジーボの効能追加では、「食道がんのセカンドラインと大腸がんは今期中、非小細胞肺がんのファーストラインは来年度に承認取得予定にある」と報告した。
1年以内に発売を予定している新製品は、「コララン錠(慢性心不全)」、「オンジェンティス(パーキンソン病)」、「エドルミズ(がん悪液質)」、「ONO5704(変形性関節症)」の4品目。
各製品の上市時期は、コララン錠は承認済みで薬価収載待ち。オンジェンティス、エドルミズは来年度上期、ONO5704は来年度下期を予定している。
その中で、ONO5704について相良氏は、「国内のヒアルロン酸市場は約500億円に上る。ヒアルロン酸にジクロフェナク(鎮痛作用)を配合している本剤は、臨床現場でしかるべき評価を得るものと考えている」と明言。「発売後、500億円の市場のうち、どのくらいの販売シェアを獲得するかが注目される」と述べた。
新製品上市を勘案した今後の営業体制については、「医療提供体制の変革に対応するため10月1日付けで組織変更を行った」と報告した。
具体的には、営業所を57箇所から97箇所に増設し、全国の二次医療圏(344圏)にきめ細かく対応できるように体制を整備。「1つの営業所が3医療圏担当して、営業所がディテール活動の中心となって仕事をする」と説明した。
4品目の新製品プロモーション活動も「新体制によってより有効になる」と自負した上で、「来年度から翌年度にかけた新製品の業績への大きな寄与」に期待を寄せた。
一方、オプジーボの非小細胞肺がんのファーストラインについては、「今年度中に申請し、来年度に承認を取得する予定」とした上で、「競合品が、非小細胞がんのファーストラインで承認されてから2年程度経過している(キートルーダ)などの状況下にあるが、一定のところまで巻き返しが期待できる」と宣言した。
さらに、「非小細胞肺がんの患者数は、治療の多様性から考えると国内でも大きなマーケットが形成されている」と指摘。その一方で、「東アジアでは、胃がん、食道がん、大腸がんも特有的に多く、これに対応すべくオプジーボの効能追加を進めている」と注釈した。
同中間期のロイヤリティは422億円(対前年同期比29億円増)。その内訳は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社からのオプジーボのロイヤリティが307億円(同26億円増)、メルクからのキートルーダのロイヤリティが85億円(同29億円増)。
相良氏は、キャリア採用にも「オプジーボの上市に当たって2014年より開始した。以来300人強採用しているが、今後も必要に応じて採用したい」と言及し、「厚労省からのキャリア採用も、その一部である」と説明した。