田辺三菱製薬、日本イーライリリー、ミナケアは25日、肥満症疾患啓発プログラム3社協働事業を開始すると発表した。
同事業は、健康保険組合加入者のうち肥満症の可能性のある対象者へ向けた肥満症に対する正しい理解の促進および医療機関への相談機会の確保支援を目的としたもの。
ミナケアは、2011年の創業以来、ならなくてすむ病気の予防、なった病気の治療や管理の徹底で人々に長く健康に生きてもらう「投資型医療」の実現を目指すヘルスケアベンチャーである。エムスリーグループの一員として、健康経営・コラボヘルス支援事業、データヘルス支援事業、データ解析事業、保健事業支援ツール提供、歯科保健事業、ヘルスケアサービス開発支援事業を展開し、健康保険組合や企業に向けて、データを活用した戦略コンサルティング事業や健康づくりや予防事業のDX推進を行っている。
肥満症は、肥満であり、かつ肥満に関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される状態を指し、医学的に治療が必要な慢性疾患である。放置すればQOLの低下のみならず、2型糖尿病や脂質異常症、高血圧など多様な健康障害の発症や重篤化を招く可能性があり、早期の診断と対応が必要である。
だが、これまで治療選択肢が限られていたこともあり、肥満症の社会的認知度は依然として十分ではなく、一般的な「肥満」と誤認されて見逃されるケースが少なくない。
また、肥満症の発症には、遺伝的要因、身体的要因、心理的要因、社会的要因など複数の要因が関与しているが、一般的には生活習慣ばかりが注目され、「自己管理の問題」と軽視されがちなのが現状だ。結果として、医療機関への相談や適切な医学的管理を検討する機会を逃し、適切な治療にたどりつけていない肥満症のある人が多くいる。
そこで、田辺三菱製薬と日本イーライリリーおよびミナケアは、肥満症の診断のきっかけとなる健康診断の機会に着目し、半年間にわたる継続的な疾患啓発プログラムを開始する。
健康保険組合に加入する肥満症対象者へ、ナッジ理論を用いたアプローチで疾患啓発活動を展開することにより、医療機関への相談や適切な治療につながる行動変容を促していく。
同事業は、今後、賛同するより多くの企業や健康保険組合に展開していくことで、社会における肥満症への理解促進と、肥満症のケアを必要とする人が適切に医療にたどり着ける環境構築をめざす。
また、このプログラムの広がりによって、各健康保険組合に対しても、特定保健指導の受診率向上や医療費削減への貢献が期待される。
疾患啓発プログラムの概要は、次の通り。
◆目的:肥満症の方の、肥満症に対する正しい理解の促進、および適切な肥満症治療を受ける機会の確保支援
◆対象者:ミナケアが契約する健保組合(約600)に加入する健康保険組合加入者約900万人のうち、以下を両方満たす方(肥満症の可能性がある人)
・BMI25以上
・肥満に関連する11の健康障害のうち1つ以上を有する
◆対象人数:約1万人
◆実施期間:2025年11月~2026年4月(半年間にわたり継続的にフォローアップ)
◆実施主体:ミナケア(エムスリーグループ)連携:メドケア、イーウェル
◆実施内容:
・ レセプトデータと健診データの統合分析による対象者の抽出
・ ナッジ理論を用いた疾患啓発資材の作成
・対象者への疾患啓発資材の郵送
・ 定期的にアンケートを実施(3か月ごと)しフォローアップ
・ レセプトデータによる受診行動の変化を検証
◆啓発内容:
・ 肥満症とは?(肥満との違い等)
・ 肥満症の治療について(食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法、手術、医療機関情報等)
備考 個人情報保護法を遵守し、匿名化処理を施した上でデータ分析を実施
日本イーライリリーと田辺三菱製薬およびミナケアは、肥満症のある人がエビデンスに基づく適切な治療を正しく受けられるよう、肥満症に対する社会の正しい理解促進のための疾患啓発活動を引き続き展開していく。

