GLP-1受容体作動肥満症治療薬「Wegovy」 P3試験で体重減少の低いMASH患者でも肝障害消失を確認 ノボ ノルディスク

 ノボ ノルディスクは21日、GLP-1受容体作動肥満症治療薬「Wegovy」(一般名:セマグルチド)について、P3相ESSENCE試験の事後解析結果において、体重減少の程度が低い場合でも、成人全体重減少区分の成人代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)患者で肝障害 (脂肪肝炎) の減少が減少したと発表した。
 P3相ESSENCE試験は、中等度~高度の肝線維化 (線維症) を有するMASH 患者を対象にWegovy2.4 mgの効果を評価したもの。同試験の事後解析結果では、体重減少の程度が低い場合でも、成人MASH患者における肝障害 (脂肪肝炎) の減少とセマグルチド2.4 mgが関連していることが示された。
 同試験結果は、ワシントンD.C.で開催されている米国肝臓病学会 (AASLD) の第76回学術集会であるThe Liver Meeting 2025で公表された。
 ESSENCE試験の事後解析では、無作為割付けした最初の800例の患者について72週時に評価した。組織学的所見および非侵襲的検査 (NIT) に関連した治療効果を、体重減少区分 (2%以下、5%以下、7%以下、7%超) 別に評価した。
 MASHに関連するNIT所見は、Wegovy2.4 mgの投与を受けたグループすべてで改善を示し、最大の治療効果が認められたのは、体重減少が7%以下の患者におけるアラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT) についてであった。
 このサブグループでは、Wegovy2.4 mgを投与された患者は、プラセボを投与された患者と比較して、ベースラインから72週時までのALTの平均変化量 (絶対値) が大きくなっていた (ETR0.75、95% 信頼区間: 0.68~0.82)3。
 組織学的エンドポイントにおいて、Wegovy2.4mgはプラセボと比較して、体重減少の程度が低い場合 (2%以下) も含めたすべての体重減少区分において、肝障害の消失と関連していした。体重減少が2%以下のサブグループにおいて、Wegovy2.4 mgを投与された患者の48.4%が肝障害消失といった改善を示し、プラセボを投与された患者では25.8%でした (EDP 21.7、95% 信頼区間:4.9~38.4)。
 肝線維化に関するエンドポイントについても、Wegovy2.4 mg投与ではすべての体重減少区分にわたってプラセボと比較して改善傾向が認められ、体重減少が2%以下のサブグループでは、Wegovy2.4 mgを投与された患者の27.2%が改善を示し、プラセボを投与された患者では18.3%であった。 (EDP 8.3、95% 信頼区間: -6.1~22.9)。
 ESSENCE試験のさらなる副次的解析では、無作為割付けした最初の800例を人種別 (アジア人vsアジア人以外)、民族別 (ヒスパニック又はラテン系vs ヒスパニック又はラテン系以外) 、性別 (男性vs女性) および年齢区分別 (45歳未満、45~64歳、65歳以上) で評価した。
 その結果、肝障害の消失と肝線維化改善の複合エンドポイント、および肝線維化関連NITにおいて、Wegovy2.4 mgがプラセボと比較してすべての性別、人種、および特定の民族サブグループで有効性を示した。これらの結果は、全年齢区分を通じて認められた。探索的な副次的解析は仮説を生成するものであり、これらの結果の臨床的妥当性を検証するさらなる研究が望まれる。

◆ESSENCE試験の共同試験責任医師のフィリップ ニューサム氏(キングス カレッジ病院及びキングスカレッジロンドン教授兼ロジャー ウィリアムズ肝臓研究所所長)のコメント
 このデータから、本試験でみられたWegovy2.4mgの効果は体重減少だけではないことが示唆され、MASHとともに生きる人々におけるWegovy2.4mgの臨床的効果について重要な知見が得られている。
 このデータは、心血管代謝障害をはじめとする他の全身性疾患を伴うことが多いMASHについての理解をさらに深めるものである。

◆マーチン ホルスト ランゲノボ ノルディスク開発部門エグゼクティブ バイス プレジデント兼チーフ サイエンティフィック オフィサーのコメント
 MASHは世界で2億5000万人以上に影響を及ぼし、不可逆的な肝線維化や肝不全に進行する可能性がある。本日発表された試験結果は、Wegovy2.4mgを投与されたMASH患者が、体重減少率が低くても、プラセボを投与された患者よりも肝臓の健康指標でより大きな改善を示したことを表している。

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