経口メニン阻害薬「KOMZIFTI」 米FDAから正式承認取得 協和キリン

 協和キリンは14日、米クラ・オンコロジーとグローバルな戦略的提携契約を締結する経口メニン阻害薬「KOMZIFTI」(一般名:ziftomenib)について、米FDAから正式承認を取得したと発表した。
 対象は、再発または難治性急性骨髄性白血病(AML)のうち、感受性のあるNPM1変異を有し、かつ満足すべき代替治療手段がない成人患者。
 KOMZIFTIは、NPM1変異を有する再発または難治性AMLを適応とした世界で初めて承認された1日1回経口投与可能なメニン阻害薬である。NPM1変異を伴うAMLは、治療選択肢が限られた極めて重篤な血液がんであり、同承認はこうした患者に新たな治療の選択肢を提供する重要な一歩となる。
NPM1変異はAMLにおいて最も一般的な創始的変異(founder mutation)の一つであり、全症例の約30%に認められる。NPM1変異を有するAML患者の約20%は、初回治療に奏効せず、奏効が得られた患者のうち、約70%が3年以内に、しかもその大半は12か月以内に再発すると報告されている。再発を繰り返すごとに低下する生存率は、長期寛解を可能とする新たな治療法の切実な必要性を浮き彫りにしている。
 今回の承認は、p1/2相KOMET-001(NCT04067336)主要試験のデータに基づくもの。同試験では、NPM1変異を有する再発・難治性の成人AML患者112例を対象に、KOMZIFTIの有効性と安全性が評価された。完全寛解(CR)および部分的造血回復を伴う完全寛解(CRh)の割合は21.4%(95%信頼区間[CI]:14.2〜30.2)でした。CR+CRhの奏効持続期間の中央値は5.0か月(95%CI:1.9〜8.1)、CRまたはCRhを達成した患者における初回奏効までの中央値は2.7か月(範囲:0.9〜15か月)であった。
 CRまたはCRhを達成した患者の88%は、KOMZIFTI投与開始から6か月以内にCRまたはCRhに到達している。これらの添付文書に基づくデータは、最近Journal of Clinical Oncology1誌に掲載された報告内容とも概ね一致している。
KOMZIFTIは、2024年11月、Kuraと協和キリンは開発と販売に関するグローバルな戦略的提携契約を締結した。同提携は、血液悪性腫瘍領域における協和キリンのリーダーシップと専門性を基盤としている。契約条件に基づき、米国ではKuraが開発・薬事・販売戦略を主導し、製造の責任を負う。両社は、共同で策定した計画に従い米国における販売活動を共同で実施する。米国以外では協和キリンが開発・薬事・販売戦略を主導し、販売の責任を負う。

◆Eunice Wang Roswell Park総合がんセンター 白血病診療部長兼腫瘍学教授のコメント
 KOMZIFTIは、NPM1変異を有する再発または難治性AMLの成人患者さん、特に高齢で強力化学療法や造血幹細胞移植に耐えられない方々にとって、極めて重要な医療ニーズに応える治療薬である。
 臨床データでは、管理可能な安全性プロファイルとともに、深く持続する奏効が示された。特に、薬物間相互作用がなく、QTc延長やトルサード・ド・ポワントに関する添付文書上のボックス警告が付与されていない点は、複数の薬剤を併用している患者さんにとって大きな利点である。
 今回のFDA承認により、我々はこの経口治療薬を診療に組み込み、このような予後不良な患者集団の改善を図ることができる。

◆Troy Wilsonクラ・オンコロジー社長兼CEOのコメント
 KOMZIFTIは、限られた有効な治療選択肢しか持たない患者さんにおいて、優れた有効性、良好な安全性プロファイル、併用薬との高い適合性、さらには利便性に優れた1日1回経口投与という特長を兼ね備えている。これらの特長は、承認された適応症においてKOMZIFTIが、最も汎用されるメニン阻害薬として大きな可能性を有していることを示している。
 パートナー企業である協和キリンとともに、我々はAMLの治療全体を通じたKOMZIFTIの開発を推進し続けることに全力を尽くす。KOMZIFTIはベストインクラスを期待できる特性を有し、併用療法やより早期の治療ラインにおいて、さらに大きな治療効果を発揮する可能性がある。
 我々は、今回の承認を受け、KOMZIFTIの発売に向けた準備はすでに完了しており、この新薬を必要とする患者さんへ届けていく。

◆山下武美協和キリン取締役副社長Chief Medical Officerのコメント
 KOMZIFTIの承認は、血液学および腫瘍学領域における疾患の遺伝子ドライバーに対処する精密医療(プレシジョン・メディシン)を推進する当社の取り組みを改めて示すものである。AMLにおいて、多くの患者さんが深刻な病気の進行と限られた治療選択肢に直面している現状において、KOMZIFTIのような標的治療薬への進化は大きな一歩であり、既存の標準治療を変革するポテンシャルを秘めている。

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