小野薬品は11日、Vertex社が創製した「povetacicept」(pove)について、IgA腎症および原発性膜性腎症に対するベストインクラスの治療薬となり得るP1/2試験(RUBY-3試験)の最新データを発表した。同試験好結果は、米国腎臓学会Kidney Week 2025で報告されたもの。
povetaciceptは、本年6月20日に小野薬品がVertex社とライセンス契約を締結し、日本、韓国で独占的に開発・商業化する権利を取得している。
Poveは、BAFF(B cell activating factor)およびAPRIL(a proliferation inducing ligand)に対するデュアル拮抗薬として開発中の遺伝子組換え融合タンパク質で、複数の腎疾患を対象としたピボタル試験において唯一のBAFF+APRIL拮抗剤である。Vertex社によりIgA腎症、原発性膜性腎症を含む複数の重篤なB細胞介在性疾患の治療薬として開発が進められている。
IgA腎症および原発性膜性腎症の成人患者に4週間ごとに皮下投与された非盲検のP1/2相RUBY-3試験の48週間の解析には、pove80mgを投与されたIgA腎症患者21名と原発性膜性腎症患者10名が含まれており、このうち17名と5名がそれぞれ48週間の評価を完了している。
その結果、投与48週時点のデータで、IgA腎症では尿タンパクがベースラインから64%減少、原発性膜性腎症では尿タンパクがベースラインから82%減少し、両疾患において推算糸球体濾過率が安定化する結果が得られた。RUBY-3試験の詳細は次の通り。
◆IgA腎症では、48週時点でのpove 80 mgコホートの主な有効性の結果は、尿タンパク/クレアチニン比(UPCR)の24時間平均値がベースラインと比較して64%減少し、推算糸球体濾過率(eGFR)の変化量は、ベースラインから3.3±3.1 mL/min/1.73m2と安定した。
患者の90%(9/10)が血尿の改善を達成(投与前から中等度以上の血尿レベルの患者において、血尿が陰性または少量に減少したと定義)し、53%の患者が臨床的寛解を達成(UPCR <0.5 g/g、血尿陰性、投与前に比してeGFRが25%未満の減少と定義)した。
◆原発性膜性腎症コホートでは、48週時点での主な有効性の結果は、24時間平均UPCRがベースラインから82%減少し、eGFRがベースラインから-0.3±3.4 mL/min/1.73m2で変化は安定しており、患者の40%が臨床的な完全寛解(UPCR <0.5 g/gと定義)を達成した。
Poveの安全性と忍容性は概ね良好で、有害事象の多くは軽度または中等度であり、Poveに関連する重篤な有害事象はなかった。安全性データはこれまでの中間解析の結果と一致しており、安全性プロファイルはIgA腎症と原発性膜性腎症のコホート間で類似していた。
なお、IgA腎症を対象としたP3相RAINIER試験の患者登録は完了しており、今年中に米国FDAへ迅速承認を目指した生物製剤承認申請(BLA)のローリング申請を行う予定である。また、原発性膜性腎症を対象にFDAよりファストトラック指定を受け、P2/3相ピボタル試験を開始する。
◆RUBY-3の治験統括医師James Tumlin Emory医科大学医学部教授(Georgia Nephrology病院臨床研究ディレクター、M.D.)のコメント
今回の試験で得られたデータは、IgA腎症や原発性膜性腎症のような高いアンメットニーズのある重篤な腎疾患の治療を変革するBAFF + APRIL阻害の有効性を示している。特に、IgA腎症において、48週間のフォローアップでpoveにより治療された患者の約3分の2が完全寛解(UPCR <0.5 g/g)を達成したことは、最新のKDIGOガイドラインに沿ったもので、IgA腎症や原発性膜性腎症の治療を後押しする有望な結果となる得る。
◆RAINIER試験運営委員のRichard Lafayette氏(Stanford大学医療センター医学部[腎臓学]教授、M.D.)のコメント
P3相RAINIER試験への患者登録が迅速に進んでいるのは、IgA腎症に対する効果的な治療を必要とする患者さんのニーズが非常に高いことを示している。IgA腎症や原発性膜性腎症の患者さんは、腎臓の機能的単位であるネフロンの喪失という特定の要因に作用し、持続的な疾患コントロールを可能にする新たな疾患修飾治療を必要としている。
RUBY-3試験での2つの重篤な腎疾患におけるpoveのデータは、BAFF + APRIL阻害のデュアルアプローチの有用性を裏付けるものであり、P3相RAINIER試験の結果が得られるのを心待ちにしている。

