武田薬品は4日、デング熱ワクチンQDENGA(4価弱毒生デング熱ワクチン)について、7年間にわたって評価した主要なP3試験(TIDES試験)が完了し、長期安全性プロファイルおよび2回接種が支持されたと発表した。
同試験には追加接種の探索的解析も含まれており、これらのデータからQDENGAのベネフィット・リスクプロファイルとともに、2回接種によりデング熱に対する持続的な予防効果が得られることが確認されたもの。同結果は、多くの国々での現在の承認内容と一致しており、予防接種スケジュールの簡素化およびアドヒアランスの向上が期待される。
QDENGAの2回接種(初回接種)後4.5年までの結果によると、ウイルス学的に確認されたデング熱(VCD)に対するワクチン有効性(VE)は、61.2%(95%信頼区間:56.0-65.8)であった。
初回接種の4.5年後に追加接種を行った結果、追加接種2年後のVEはわずかに上昇し、74.3%(95%信頼区間:66.7-80.1)であった。入院予防効果は初回接種4.5年後で84.1%(95%信頼区間:77.8-88.6)、追加接種後も90.6%(95%信頼区間:78.9-95.8)と一貫した有効性を示した。4種のデングウイルス血清型全てにおいてVEが、7年間にわたり認められた。追加接種後、新たな安全性上の懸念は認められなかった。
武田薬品は、実臨床におけるエビデンスの創出と継続的なファーマコビジランスを通じて、ワクチンの安全性および影響に対する理解を深めるために、引き続き、製造販売後調査に注力する。
これには、ブラジルのドウラドス市において、ドウラドス市の健康局とブラジルの研究者が共同実施するインパクト試験や、東南アジアの小児及び青少年を対象としたQDENGAの製造販売後有効性観察試験であるDEN-401試験が含まれる。
QDENGAは、2022年にインドネシアで初めて承認されて以来41ヵ国で承認され、2025年9月時点で流行国11ヵ国において1860万回接種分が供給されている。
世界保健機関によるQDENGAの事前認証リスト加入は、同ワクチンが世界的なデング熱の脅威に対する公的な予防接種プログラムでの使用に適していることを裏付けている。これらの結果は、本年10月29日に、第14回世界小児感染症学会(WSPID)年次総会で発表された。さらに、武田薬品は、非流行国における追加接種試験の結果を本年11月11日の米国熱帯医学衛生学会(ASTMH)年次総会で発表する予定ある。
◆Edson Moreira医師(ブラジル保健省所轄のオズワルドクルス財団上級研究者)のコメント
デング熱は前例のない規模で急増しており、2024年だけでも100を超える国で1400万人を超える症例が報告されている。
主に気候変動と都市化が適切になされていない影響によるものだ。ブラジルは、従来デング熱の影響を最も受けている国の1つであり、デング熱症例数が過去最多を記録し、重症度及び死亡数の上昇の一因となっている。この感染拡大は、QDENGAのような予防法が早急に必要であることを指し示している。
ブラジルの公的予防接種プログラムにQDENGAが導入されたことで、症候性デング熱症例が減り、デング熱に関連する入院が減少した。
◆Derek Wallace武田薬品グローバル ワクチン ビジネス ユニットプレジデントのコメント
QDENGAは、最も包括的に研究されているデング熱ワクチンである。世界中で6万人を超える被験者が臨床開発プログラムに参加しており、今回の長期解析結果は、世界中の多様な集団におけるQDENGAの安全性及び有効性プロファイルの持続性を示している。

