レカネマブ 早期アルツハイマー病治療剤としてカナダで承認取得 エーザイ

 エーザイは27日、ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体モノクローナル抗体「レケンビ」(一般名:レカネマブ)について、早期アルツハイマー病治療剤としてカナダ保健省より条件付き承認(NOC/c)を取得したと発表した。
 適応症は、アミロイド病理が確認されたApoEεが非保有またはヘテロ接合体である成人におけるアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害または軽度認知症(早期AD)。同剤は、ADの根本原因を標的とした、カナダで承認された初めての早期AD治療剤となる。
 レケンビは、ADにおける可溶性Aβ凝集体(プロトフィブリル)に選択的に結合するとともに、Aβプラークの主要構成成分である不溶性Aβ凝集体(フィブリル)にも結合し、脳内のAβプロトフィブリルおよびAβプラークを減少させると考えられている。ADの進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを実証し、承認された世界で初めての治療薬である。
 これまでに日本、米国、欧州(EU)、中国、韓国、台湾、サウジアラビアなど51の国と地域で承認を取得し、9カ国で承認申請を行っている。
 今回の承認は、エーザイが実施した大規模グローバルP3試験であるClarity AD試験のデータに基づくもの。同試験においてレケンビは、主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成した。カナダでの承認は、臨床的有用性を検証する追加データの提出を条件としており、エーザイは、実際の臨床の現場で得られた臨床評価データを提出する予定だ。
 ADは認知症の中で最も多く、認知症全体の60~80%を占めている。カナダにおける認知症の当事者は2025年1月1日時点で77.1万人以上と推計され、2030年には約100万人、2050年には170万人以上に増加すると予測されている。
 また、認知症の当事者への家族や友人の介護の時間は年間で29万人のフルタイム雇用に相当し、2050年には69万人に増加すると予測されている。
 レカネマブについては、エーザイが開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。カナダにおいては、エーザイ・リミテッドが販売および情報提供活動を行う。

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