
塩野義製薬は23日、経鼻ワクチン開発に関する取り組みの記事広告「経鼻ワクチンは注射を歴史に残すのでしょうか?」を、国際的な総合科学雑誌「Nature(誌面およびオンライン版)に掲載したと発表した。
同ワクチンの開発は、千葉大学と共同で進めているもの。記事広告では、塩野義製薬と千葉大学が連携して研究開発を進める革新的な経鼻ワクチンの特徴と可能性について紹介している。特に、鼻粘膜局所におけるワクチン抗原の滞留性を高めるデリバリーシステムを搭載することで、全身免疫による発症予防および重症化予防のみならず、粘膜局所での免疫誘導による病原体の侵入防御を目指す新たなアプローチを取り上げている。「経鼻ワクチンは注射を歴史に残すのでしょうか?」の序章は、次の通り。
ワクチン接種を腕への鋭いジャブと結びつけずに考えるのは難しいです。しかし、鼻からワクチンを投与するなど、免疫系を活性化するより穏やかな方法は他にもあります。現在、千葉県の千葉大学の研究者と製薬会社塩野義製薬が協力して、経鼻ワクチンの刺激的な可能性を探求しています。
経鼻ワクチンを追求する最も説得力のある理由の1つは、経鼻ワクチンが体内の奥深くに定着する前に、侵入点で空気中の病原体に対する保護を提供できることです。これは、鼻、口、気道、消化管、性器を覆う粘膜表面に関連する粘膜免疫系の役割です。これは、外部の脅威に対する体の防御の第一線の 1 つです。
粘膜免疫系は、制御不能なくしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、花粉症に伴う悪化症状を経験したときに最も顕著です。これらは、鼻腔や目から無害な花粉粒を必死に洗い流したり解除したりしようとする、活性化された粘膜免疫系の反応です。
研究者らは、経鼻ワクチンを使用して特定の抗原を導入することで、粘膜免疫系の有効性を高めることができると考えています。
「経鼻ワクチンの最大の利点は、多くの病原体の侵入口である粘膜表面に特異的免疫を誘導できることだと思います」と千葉大学未来粘膜ワクチン研究開発シナジー研究所(cSIMVa)の鈴木忠樹教授は言う。「これにより、感染の初期段階を効果的に抑制できる可能性があります。」
