FARAPULSEパルスフィールドアブレーションシステム 持続性心房細動に対する適応追加承認取得 ボストン・サイエンティフィック ジャパン

FARAPULSEパルスフィールドアブレーションシステム

 ボストン・サイエンティフィック ジャパンは8日、FARAPULSEパルスフィールドアブレーション(PFA)システムが、日本国内で新たに持続性心房細動を対象とした適応追加承認を取得したと発表した。
 FARAPULSE PFAシステムは、従来、薬剤抵抗性を有する再発性症候性の発作性心房細動の治療を対象としていた。今回の適応追加により、治療がより困難とされる薬剤抵抗性を有する症候性の持続性心房細動に対しても、非熱性アブレーションであるFARAPULSE PFAシステムを新たな治療の選択肢の一つとして提供できるようになる。
  FARAPULSEは、熱や冷却ではなく、電気のパルスを用いて心臓組織を選択的に処置することが期待される新しいタイプのアブレーションシステムだ。従来の高周波または冷凍アブレーションと比べて、食道や横隔神経といった周辺組織へのダメージを抑制し、より安全性と再現性に優れた治療の提供が期待される。 心房細動(AF:Atrial Fibrillation)は、発作性と持続性に大別される。発作性心房細動は、発症しても多くの場合、7日以内に自然に正常な脈(洞調律)に戻るとされているが、持続性心房細動は7日以上持続する病態を指す。
 さらに、1年以上にわたり持続する場合は「長期持続性心房細動」と分類される。国内のレジストリによれば、2022年にアブレーションを受けられた患者のうち約55%が発作性、約45%が持続性であった。これまで、FARAPULSE PFAシステムは、発作性心房細動を適応対象としていたが、治療件数の増加とともに、持続性心房細動への適応が求められていた。
 今回、FARAPULSE PFAシステムでの持続性心房細動の治療が可能となり、より多くの患者に同治療のメリットを提供できる運びとなった。
 また、これまでのFARAPULSE PFAシステムでの治療方法は肺静脈隔離であったが、今回の適応追加に伴い、持続性心房細動に対して左房後壁隔離も実施することが可能となる。
 今回の適応追加承認は、米国FDAでの承認取得時に用いられたADVANTAGE AF臨床試験P1の成績を基にFARAPULSE PFAシステムの安全性と有効性が評価されたもの。同試験は前向き、単群、多施設共同試験であり、薬剤抵抗性を有する症候性の持続性心房細動の患者260名を対象に、世界43施設で実施された。
 その結果、主要有効性評価項目とした手技1年後の治療成功率は63.5%、主要安全性評価項目とした複合重篤有害事象の発現率は2.3%で、いずれも事前に規定した目標を達成した。脳卒中、肺静脈狭窄、心房食道瘻などの重篤な合併症は報告されていない。

◆里見和浩東京医科大学病院 病院長特別補佐循環器内科主任教授のコメント
 FARAPULSEは、これまでの心房細動の治療におけるアブレーション手技に大きな革新をもたらしたと感じている。特に、今回、持続性心房細動という治療の難しい患者層にも使用可能になったことは、医療現場にとって大きな意義がある。
 従来の熱エネルギーに比べて周辺組織への影響が少なく、より安全性を考慮した治療が可能になる。今後、多くの患者さんにとって福音となることを期待している。

◆ 森川智之ボストン・サイエンティフィック ジャパンの代表取締役社長のコメント
 我々は、医療従事者の皆さまと共に、より安全で信頼性の高い治療を日本中に届けたいと考えている。FARAPULSEは、まさに“技術革新”によって、医療現場を支える以上に、医療現場に革新をもたらす存在である。
 今回の適応追加を通じて、治療の選択肢をさらに広げ、治療の質の向上、そして患者さん一人ひとりに貢献できることを心から嬉しく思う。

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