参天製薬は1日、開放隅角緑内障および高眼圧症治療薬「タプコム」について、中国現地法人の参天製薬(中国)有限公司より発売したと発表した。
これにより、β受容体遮断薬やプロスタグランジン誘導体による単剤療法で目標眼圧を達成できない、または防腐剤無添加の点眼薬が適切とされる患者に、新たな治療選択肢を提供する。
同剤は、参天製薬および AGC(本社:東京都)により創製されたタフルプロスト 0.0015%と、チモロール 0.5%を含有する防腐剤無添加の配合点眼剤である。同剤の配合成分であるタフルプロストの活性代謝物(タフルプロスト酸体)はプロスタノイドFP受容体作動薬で房水流出を促進し、もう一方の配合成分であるチモロールマレイン酸塩は非選択的β受容体遮断剤で房水の産生を抑制する。
中国の既存の緑内障治療薬の中で、同剤は、第一選択薬であるプロスタグランジン誘導体を含有した中国初の防腐剤無添加の配合剤だ。
併用療法と同等の有効性と安全性を1日1回の投与で達成でき、2種類の点眼薬を併用する場合と比べて、患者の利便性、服薬遵守、および QOLがいっそう向上する。
また、同時に防腐剤への暴露量を低減することで、長期にわたって薬物療法を受ける緑内障患者のベネフィットが高まる。
緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害されて視野欠損が進行し、適切に治療されなければ失明に至る疾患である。2020年時点で、中国における緑内障の患者数は2180万人を超えており、失明に至った症例数は567万件に上っている。
発症しても自覚しにくい疾患であるため、多くの患者は医療機関を受診する時点で既に病状が進行しているケースが少なくない。また、緑内障と診断された患者の約75%が、単剤療法を2年間継続した後も目標眼圧を達成するためには複数の薬剤を併用する必要があると報告されている。 「中国緑内障ガイドライン 2022」は、薬剤の併用が点眼におけるアドヒアランスを低下させ、また、防腐剤が含まれている場合には緑内障患者への防腐剤の暴露量を増加させる可能性があることを指摘している。防腐剤により引き起こされる眼表面疾患は、緑内障の治療管理において重要な課題になっている。
さらにガイドラインでは、緑内障患者さんに対して防腐剤無添加の薬剤の使用が推奨されている。したがって、防腐剤無添加の配合剤によって、患者により効果的かつ安全性、利便性の高い治療選択肢の提供が可能となる。