9月1日よりムコ多糖症のバイオマーカー検査の受託開始 アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー

 アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)は26日、ムコ多糖症の二次スクリーニング並びに経過観察、治療効果のモニタリング等を目的とした「バイオマーカー検査」の受託を9月1日より開始すると発表した。
 ACRL では、2021年4月1日より希少遺伝性疾患の可能性の有無を判断するための「拡大新生児スクリーニング検査」の受託を開始した。同スクリーニング検査は、新生児のかかとから少量の血液を採取し、その血液を使用して対象疾患の可能性を判断するもの。同検査で「陽性」となった場合、疾患の有無を確定させるための精密検査が必要となる。
「拡大新生児スクリーニング検査」におけるムコ多糖症の陽性者は数千人に一人の割合で発見される。だが、その後の精密検査で実際にムコ多糖症であると判明するのは、陽性者数十人のうち一人しかいない。
 この精密検査は、対象となる被験者が新生児であるため、その検体である尿や血液の採取が、新生児と医療関係者双方に負担となっている。また、生後間もない我が子が精密検査を受けることは、両親にとって精神的な負担が大きい。
 ACRLでは、これらの負荷をなるべく軽減するため、スクリーニング検査で使用した乾燥ろ紙血を用いたグリコサミノグリカン(GAG)定量検査(バイオマーカー検査)により、ムコ多糖症である可能性の高い被験者を選別する二次スクリーニングの方法を開発した。
 この二次スクリーニングを実施することで、これまで「拡大新生児スクリーニング」で陽性となり、精密検査の結果ムコ多糖症ではないと診断される偽陽性の被験者を10分の1以下に減らすことが可能となる。
 これは、即ち精密検査の検体を採取する被験者やその両親、医療関係者の数の削減に繫がり、関係者にとって大きなメリットになる。なお、同バイオマーカー検査は、昨年の日本マススクリーニング学会学術集会で若手優秀演題賞を受賞した「ムコ多糖症の二次スクリーニング方法の開発」を実用化したものだ。
 今回のバイオマーカー検査の受託開始により、ACRL では「スクリーニング検査」、確定検査としての「遺伝学的検査」、さらには二次スクリーニング、治療効果のモニタリングのための「バイオマーカー
検査」を一貫して提供できる体制が整った。
 ACRLは、希少遺伝性疾患の診断から治療に至るまでの包括的な検査を提供することで、希少遺伝性疾患の治療に携わる医療関係者の負担を軽減できるよう尽力する。
 なお、同バイオマーカー検査の受託開始によるアンジェスの連結業績、財政状態への影響はない。今後、開示すべき事象が発生した場合には、速やかに開示する。

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