アルツハイマー病治療剤「レケンビ」 ドイツ、オーストリアで新発売 エーザイ

 エーザイは25日、抗 Aβモノクローナル抗体「レケンビ」(一般名:レカネマブ)について、25日にオーストリアで、9月1日にドイツでそれぞれ新発売すると発表した。
 同剤は、2025年4月にアルツハイマー病の根本原因を標的とする初めての治療剤として、「アミロイド病理が確認されたApoEεが非保有またはヘテロ接合体である成人におけるアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症(総称して早期AD)の治療」の適応で、欧州委員会より承認を取得した。今回の発売は、欧州連合(EU)加盟国での初めての発売となる。
 欧州委員会からの承認取得後、各国当局と連携して発売に向けた承認要件の整備を進め、今回、 オーストリアとドイツにおいてControlled Access Programの整備が完了したため発売可能となった。
 AD は、Aβおよびタウを病理上の特徴とする進行性の疾患で、時間の経過とともに段階的に進行して重症度が増し、その疾患の段階によってAD当事者と介護者にそれぞれ異なる困難をもたらす。
 AD 当事者と社会の負担を軽減するため、早期ステージから治療を開始し、投与を継続することで AD の進行を遅らせる新しい治療オプションに対して、大きなアンメット・ニーズが存在する。
 レケンビは、プロトフィブリルとアミロイドプラークの双方をターゲットとする唯一のAD治療剤で、その後のタウ蓄積にも影響を与えることが期待される。
 Clarity AD試験では、EUにおける適応の対象集団(ApoEε4 が非保有またはヘテロ接合体の被験者)において、18カ月間のレカネマブ投与群(n=757)は、プラセボ投与群(n=764)と比較して主要評価項目であるCDR-SBで臨床症状の悪化を31%抑制した。
 安全性に関して、EU の適応の対象集団におけるレカネマブ投与群(n=757)で最も多く見られた有害事象は、Infusion reaction(26%)、ARIA-H(13%)、頭痛(11%)、ARIA-E(9%)であった。症候性のARIA-Eの発現率は2%、症候性のARIA-Hは0.8%であった。
 エーザイは、同剤の開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。北欧諸国を除くEUにおいては、エーザイおよびバイオジェンが共同販促を行い、エーザイが販売承認取得者として同剤を販売する。

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