骨軟部腫瘍の腫瘍溶解性ウイルス「Surv.m-CRA-1」 国内でのライセンス契約締結 サーブ・バイオファーマと日本臓器製薬

左から、小戝氏、山田氏、小西氏、日本臓器製薬 R&D統括本部長 武岡 裕一氏

 サーブ・バイオファーマ(本社:鹿児島県)と日本臓器製薬は5日、サーブ・バイオファーマが独自開発した腫瘍溶解性ウイルス「Surv.m-CRA-1」について、骨軟部腫瘍を対象とした日本国内における独占的なライセンス契約を締結したと発表した。
 Surv.m-CRA-1は、サーブ・バイオファーマ最高科学責任者の小戝健一郎氏(鹿児島大学・教授)が独自開発したもの。同契約に基づき、日本臓器製薬は Surv.m-CRA-1 の骨軟部腫瘍(原発性悪性骨腫瘍、悪性軟部腫瘍、転移性骨腫瘍)を対象とした日本国内における独占的な開発、製造および販売権を有する。
 サーブ・バイオファーマは日本臓器製薬から、今後の開発進捗や上市後の売上達成に応じ、総額最大105億円(契約一時金を含む)を受領する。また、国内の年間売上高に応じてロイヤルティも受する。
 Surv.m-CRA-1 は、がん細胞で特異的に活性化するサーブ・バイオファーマ独自の「サバイビンプロモーター」を搭載した腫瘍溶解性ウイルスだ。正常細胞は傷害せず、がん細胞だけで増殖し、がん細胞を選択的に殺傷するため、高い治療効果と安全性を有し、さらに既存治療法が無効のがん幹細胞も治療できる画期的ながん治療薬(再生医療等製品)として期待されている。
 これまでサーブ・バイオファーマは、有効な治療薬が存在せずアンメット・メディカル・ニーズの高い骨軟部腫瘍をターゲットとし、第一弾として希少がんである原発性悪性骨腫瘍に対する臨床開発を進めてきた。
 国内で実施したP2試験で極めて良好な結果が得られたため、現在、同承認取得に向けたP3試験を本年10に開始すべく準備を進めている。
 同契約締結により、サーブ・バイオファーマと整形外科領域において長年にわたり実績を積み重ねてきた日本臓器製薬は、一日も早くSurv.m-CRA-1を医療現場に届けるため、協働して臨床開発、製造、品質管理等の整備を進め、2027年の製造販売承認の取得を目指す。
 承認取得後は、日本臓器製薬の経験やノウハウ、整形外科領域におけるネットワークを活用して、Surv.m-CRA-1を広範な患者様へ迅速かつ確実に届ける方針を示している。
 また、両社は、国内における承認取得を皮切りに、原発性悪性骨腫瘍を適応症としたSurv.m-CRA-1のアジアや欧米等の海外への展開も視野に入れている。さらに、Surv.m-CRA-1の適応拡大として、希少がんである悪性軟部腫瘍、及び転移性骨腫瘍の国内臨床開発にも着手する意向を示している。

◆山田昌樹サーブ・バイオファーマ代表取締役社長のコメント
 当社は、創業者である鹿児島大学小戝教授の画期的なウイルス改変技術を社会実装するために設立された鹿児島大学発の認定ベンチャーである。今回、当社の最初の開発品である Surv.m-CRA-1 について、整形外科領域のリーディングカンパニーである日本臓器製薬と提携できることを大変嬉しく思う。
 これは、我々の技術と本剤のポテンシャルを高く評価いただいた証左であり、最善のパートナーと契約締結できたと確信している。この提携を力に、新薬として一日も早く患者様にお届けできるよう、一層の努力を重ねていきたい。

◆小戝健一郎サーブ・バイオファーマ取締役会長兼最高科学責任者(CSO)のコメント
 私は、「多因子増殖制御型アデノウイルス(m-CRA)」作製技術を独自に開発し、同技術を用いて安全性と治療効果が極めて高くがん幹細胞も治療できる革新的性能の「サバイビン反応性・多因子増殖制御型アデノウイルス(Surv.m-CRA)」を開発した。
 サバイビンは全てのがんで発現しているため、Surv.m-CRA はあらゆるがんへの治療効果が期待できる。これまで日本医療研究開発機構(AMED)などから多くのご支援を得て研究を進めてきた。今回、研究成果の第一弾であるSurv.m-CRA-1のポテンシャルを日本臓器製薬に評価いただき、ライセンス契約が締結されたことを嬉しく思う。

◆小西崇⽂日本臓器製薬代表取締役社長
 当社はこれまで整形外科領域と疼痛管理領域を中心に実績を積み上げ、医療現場と患者様に貢献してきた。今回、がん領域、しかもアンメット・メディカル・ニーズの極めて高い原発性悪性骨腫瘍という希少疾患に対して、Surv.m-CRA-1 という革新的な治療選択肢をお届けする挑戦ができることを大変光栄に思う。
 本契約を通じ、整形外科領域での圧倒的貢献という使命を進化させ、新たな患者層に貢献できることに大きな意義と責任を感じている。今後、2027年の承認取得に向けて、サーブ・バイオファーマと緊密に連携し、承認取得後はこれまで研究や品質管理において培ってきたナレッジや、ネットワークなどを最大限に活かし、患者さんと医療現場に一日も早く価値をお届けできるよう努めていく。

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