エーザイは23日、過活動膀胱治療剤「ベオーバ錠」(一般名:ビベグロン)について、同社タイ販売子会社のエーザイ・タイランドが現地で新発売したと発表した。
同剤については、2021年にエーザイが杏林製薬より東南アジア諸国連合(ASEAN)のタイ、フィリピン、マレーシアおよびブルネイにおける独占開発権および販売権を取得。タイにおいてはエーザイ・タイランドが2023年3月に販売承認申請を行い、2024年6月に承認を取得した。
同剤の新発売は、エーザイのライセンス地域で初めてとなる。今回新発売のタイに加え、フィリピン、マレーシアでも既に承認を取得しており、上市に向けた準備を進めている。
過活動膀胱(OAB)は、尿意切迫感を必須症状とし、通常は頻尿と夜間頻尿を伴う症状症候群である。患者によっては切迫性尿失禁を伴う場合もある。トイレに関する不安から外出を控える、睡眠が十分取れないなど患者の日常生活に支障をきたし、QOLを低下させる。
また、加齢とともに増加するが、脳血管障害(脳出血・脳梗塞)、パーキンソン病などの脳や脊髄の疾患、前立腺肥大症が原因となることも報告されており、適切な治療が必要である。タイにおけるOABの有病率は15.8%との報告がある。
同剤は1日1回投与の選択的β3アドレナリン受容体作動薬で、膀胱のβ3受容体に選択的に作用し、膀胱を弛緩させることで、蓄尿機能を高め、OABにおける尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁の症状を改善する。
杏林製薬とエーザイは、杏林製薬が創製した OAB 治療剤「ウリトス」(一般名:イミダフェナシン)について、アジアにおける開発・販売に関するライセンス契約を2009年9月に締結。エーザイがタイ、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ベトナム、ラオスおよびミャンマーで販売を行っている。
タイにおいては、「ウリトス」に加え、今回の「ベオーバ」の新発売により、過活動膀胱に対する新たな治療選択肢を提供し、アジアの患者のQOLの向上により一層貢献する。