日本初の遺伝子異常に基づく尿路上皮がん治療薬「バルバーサ」 新発売 J&J

 J&Jは16日、抗悪性腫瘍剤/線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤「バルバーサ」について、尿路上皮がんに対する日本国内で初めてかつ唯一の遺伝子異常に基づく治療薬として発売したと発表した。
 バルバーサは、昨年12月27日に「がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がん」を効能・効果に承認を取得し、 本年7月16日に薬価収載された。
 薬価は、バルバーサ錠3mg:1錠3万1810.40円、同4mg:1錠4万1501.70円、同5mg:1錠5万1009.70円。
 尿路上皮がんは、尿路(腎盂~尿道)に発生するがんであり、膀胱に最も多く認められる。日本国内における2020年の膀胱がんの新規診断者数は約2万3000人で、2023年の死亡者数は約9600人に上る。
 膀胱がん全体の5年相対生存率(2014~2015年)は70.5%であるが、ステージIVとなると17%以下まで落ちる予後不良ながんだ。
 今回バルバーサが適応症として承認を取得したFGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がんは、これまで治療選択肢が限られており、新たな治療薬が切に求められていた。
 バルバーサは、国際共同P3試験(THOR試験)(NCT03390504)のコホートで、成人のPD-1/PD-L1阻害剤を含む治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する根治切除不能尿路上皮がん患者を対象に、その有効性及び安全性が検討され、その結果に基づき承認を取得している。
 同試験において、バルバーサによる治療群は化学療法群と比較し、主要評価項目である全生存期間(OS)を統計学的に有意に延長し、死亡リスクの36%低下とともに、良好な安全性プロファイルを示した。

◆松原伸晃国立がん研究センター東病院腫瘍内科医長のコメント
 根治切除不能な尿路上皮がんに対しては、これまで新たな治療選択肢が求められていた。バルバーサは、これまで治療選択肢が限られていたこれらの患者さんにおいて、全生存期間及び無増悪生存期間を有意に延長することが臨床試験で示された新しい標的治療である。
 また、尿路上皮癌で初めての遺伝子異常に基づいた個別化治療の抗悪性腫瘍薬であり、適応となる患者さんにとって、新たな治療選択肢となることを期待している。

◆クリス・リーガーJ&J Innovative Medicine Japan代表取締役社長のコメント
 バルバーサの発売を機に、我々は新たに膀胱がん領域に参入する。進行性尿路上皮がんの患者さんは、これまで治療選択肢が限られており、予後も不良であるため、新たな治療法が切に求められていた。
 我々は、これまで前立腺がん領域で長年培った強固な基盤を活かし、膀胱がんに対する初めての標的治療薬としてのバルバーサを必要とする多くの患者さんにお届けし、患者さんが直面する課題解決に向け取り組いく。さらに、アンメットニーズがいまだに残されている膀胱がん領域に対し、引き続きイノベーションをもたらしていきたいと考えている。

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