HIV-1治療薬「イスラトラビル」とNNRTI「ドラビリン」の2剤配合錠 製造販売承認申請 MSD

 MSDは11日、1日1回経口投与のヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)治療薬「イスラトラビル」と非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)「ドラビリン」について、2剤配合錠(ドラビリン/イスラトラビル)の製造販売承認申請を行ったと発表した。
 イスラトラビルは、MSDが開発中のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害薬(NRTTI)。即座にDNA鎖伸長反応を停止する逆転写酵素トランスロケーション阻害作用や、ウイルスDNAで誘発される構造変化による遅延性のチェーンターミネーションなどの複数の機序によりHIV-1の複製を阻害する。
 ドラビリンは、同社が開発した非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)で、HIV-1逆転写酵素を非競合的に阻害し、HIV-1の複製を阻害する。国内では「ピフェルトロ」として、「HIV-1感染症」の効能・は効果で承認されている。
 HIV感染症は、HIVがCD4陽性リンパ球などの免疫担当細胞に感染することで、免疫系が徐々に破壊されエイズ(後天性免疫不全症候群)を発症する進行性の疾患である。日本では、HIV感染者およびエイズ患者数は毎年1000人前後の新規報告があり、両者の合計は累計で3万6381人(2024年末現在、凝固因子製剤による感染例を除く)とされている。
 HIV感染症の治療は、原則として血中のウイルス量を検出限界以下に抑え続けることを目標に行われ、適切な抗HIV薬を継続して服用することが必要となる。だが、抗HIV療法によって予後が改善し、治療が長期化することに伴い、さまざまな合併症が新たな問題となってきている。そのため、一人ひとりの健康上のニーズに対応できる幅広い選択肢が求められている。
 今回の申請は、ドラビリン/イスラトラビルの2剤配合錠の有効性および安全性を評価した2つの国際共同P3試験(MK-8591A-051、-052試験)の結果に基づくもの。ウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症成人患者を対象とした両試験において、ドラビリン/イスラトラビルの有効性は、対照とした抗レトロウイルス療法に対して非劣性を示し、安全性プロファイルは同様であった。
 

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