
スポーツの後やふとした瞬間、汗や身体のにおいが気になりやすい季節となった。大正製薬では、20代~40代の全国の男女 420 人を対象に、「気になるカラダのにおい意識調査」を実施した。
身体のにおいといっても、体臭からわき臭、頭皮、口臭、加齢臭、さらには疲労臭など身体から発する匂いはさまざま。“スメルハラスメント”という言葉も生まれ、エチケットとして気を付けたいのは勿論、匂いは健康状態を示す「健康のバロメーター」ともいわれている。
同調査では、いつ、どこで、自分/周囲のどんなにおいが気になるのかを探るとともに、身体の匂いのメカニズムについて、小林暁子小林メディカルクリニック東京院長が解説する。調査概要および調査結果の概要、調査結果の詳細は次の通り。
【調査概要】
◆調査地域:全国
◆調査期間:2025 年 3 月
調査方法:インターネットでのアンケート調査
◆調査対象:20~49 歳までの 420 名(男性 210 名、女性 210 名)
◆有効回答:420 名
◆調査会社:クロス・マーケティング
【調査結果の概要】
◆ 女性が不快に感じている男性のにおいは、①口臭(42.4%)②タバコ(38.1%)③加齢臭
(35.2%)。男性が不快に感じる女性のにおいは、①タバコ(17.6%)②香水(16.7%)③
口臭(15.7%)。
でも自分が気を付けているにおいは、男女とも①口臭(女性:45.7% 男性:32.9%)②わ
き(女性:39.0% 男性:25.7%)③汗(女性:29.5% 男性:24.3%)の順で、微妙なギャ
ップあり!
◆ 身内のにおいには寛容!? 不快指数で、「恋人」は 13.1%と低いのに、他人になるほど数
値がアップし、「上司/先輩」(26.4%)、「通りすがりの人」(33.8%)という結果に。
◆ 男女でにおい意識にギャップ! 男性はにおいに無頓着!
◆ 自分の匂いが気になる場所は「電車・バスの中」(26.0%)「エレベーターの中」(16.4%)。女性の3 位は「デートのとき」(14.3%)、男性は「スポーツの後」(13.8%)。理想は「石鹸・シャンプーの香り」(34.3%)とナチュラル志向。
◆ 体臭・口臭の原因は、「食べ物」(40.7%)、「生活習慣」(38.3%)、「ストレス」(37.4%)と分析。だが対策として「体調管理に気を付ける」は1割以下(9.3%)。「腸内環境」が関係していることを認識している人はまだまだ少数派。
【調査結果の詳細】
◆ 女性が不快に感じている男性のにおいは、①口臭(42.4%)②タバコ(38.1%)③加齢臭(35.2%)。男性が不快に感じる女性のにおいは、①タバコ(17.6%)②香水(16.7%)③口
臭(15.7%)。でも自分が気を付けているにおいは、男女とも①口臭(女性:45.7% 男性:32.9%)②わき(女性:39.0% 男性:25.7%)③汗(女性:29.5% 男性:24.3%)の順で、微妙なギャップあり!
男女それぞれに、不快に感じる異性・同性のにおい、また自分が気を付けているにおいについて聞いた。その結果、自分と周囲とでは不快に感じる(気にしている)においに少しギャップがあることが分かった。
男女ともに周囲に配慮して自分自身で気を付けているにおいは、①口臭(女性:45.7% 男性:32.9%)②わき(女性:39.0% 男性:25.7%)③汗(女性:29.5% 男性:24.3%)。
だが、女性が不快に感じる男性のにおいは、①口臭②タバコ③加齢臭。一方男性が不快だと思う女性のにおいは、①タバコ②香水③口臭が上位であった。
清潔志向が高まる中、自分のにおいには気を配っているつもりでも、「タバコ」や「香水」、「加齢臭」は本人にとっては習慣化されているため、気にならない(気づきにくい)のかもしれない。

◆ 身内のにおいには寛容!? 不快指数で、「恋人」は 13.1%と低いのに、他人になるほど数値がアップし、「上司/先輩」(26.4%)、「通りすがりの人」(33.8%)という結果に。
周囲でにおいが気になる人について尋ねた。「我慢している」「我慢できず離れた」「本人に伝えた」という“不快指数”は「恋人」で 13.1%、「夫・妻・パートナー」17.6%、「兄弟」15.2%、「姉妹」10.5%であるが、「同僚」25.0%、「上司/先輩」は 26.4%と 20%台に上昇。「通りすがりの人・他人」は 33.8%とさらにアップしている。
家族・身内の人間のにおいにはいたって寛容で、“他人度”が高まるにつれ、においの不快度もアップするようだ。

◆ 男女でにおい意識にギャップ! 男性はにおいに無頓着!
回答で目立ったのは男女の差。ほとんど全ての回答で、においを気にする女性の数値が圧倒的に男性を上回っている。例えば自分が気を付けているにおいで「特になし」は女性 25.7%に対し男性は 41.0%でトップ(表3 赤枠参照)。 「不快に感じる異性のにおい」で、「特になし」は女性26.2%に対し、男性は約半数の50.5%。自分にも周りも、においに敏感な女性、逆に無頓着で、においへの関心度が低い男性、という構図が見えてきた。

◆ 自分のにおいが気になる場所は「電車・バスの中」(26.0%)、「エレベーターの中」(16.4%)。
女性の3位は「デートのとき」(14.3%)、男性は「スポーツの後」(13.8%)。理想は「石鹸・シャンプーの香り」(34.3%)とナチュラル志向。

自分のにおいが気になる場所・シーンについて聞いた。「電車・バスの中」(26.0%)、「エレベーターの中」(16.4%)といった人の密集度が高い場所が上位になっている。次いで女性は「デートのとき」(14.3%)が3位。ちょっぴり女心がうかがえる結果に。男性は「スポーツの後」
(13.8%)が3位で、汗のにおいが気になるようだ。
このほか「自身の理想の香り」の質問では、「石鹸・シャンプーの香り」(34.3%)を支持する人がトップ。自然で控えめなにおいが求められている。

◆ 体臭・口臭の原因は、「食べ物」(40.7%)、「生活習慣」(38.3%)、「ストレス」(37.4%)と分析。だが、対策として「体調管理に気を付ける」は1割以下(9.3%)。「腸内環境」が関係していることを認識している人はまだまだ少数派。
体臭・口臭の原因について尋ねた質問では、「食べ物」(40.7%)、「生活習慣」(38.3%)、「ストレス」(37.4%)、「加齢」(31.4%)の回答が上位を占めた。にんにくなどにおいの強い食べ物や不規則な生活習慣、疲労からくるストレスが身体のにおいに悪影響があると考える人が多いようだ。 だが、「どんなにおいケアをしているか」聞いたところ、こちらは「お風呂に入る」(56.9%)、「歯を磨く」(41.2%)、「制汗剤の使用」(30.5%)と身体の表面を整える回答が上位となり、「体調管理に気を付ける」の回答は 9.3%と少数派。インナーケアにまで気を配る根本的なにおい対策には至っていないようだ。
また、体臭・口臭と腸内環境が関係していることを知っていた人は、「なんとなく知っていた」を含めると約半数(54.3%)になるものの、「知っている」の回答は 15.0%にとどまり、身体のにおいと腸内環境の関係については、まだまだ認知度が低いことが分かった。



皮膚から染み出す臭いは、腸内環境を整えることで改善を
小林暁子氏(小林メディカルクリニック東京院長)

<においの原因>
〇汗のにおい
「汗をかくとにおう」と思われがちであるが、実は汗の 99%が水分で、汗自体ににおいはほとんどない。においの主な原因は、皮膚にすみついている常在菌。皮脂成分と汗が常在菌によって分解されてできる酢酸などの成分などが、においの正体である。健康的な汗はさらさらしていてすぐに乾くが、汗腺の機能が低下すると、ミネラルを多く含んだべたついた汗が分泌され、こうした汗は常在菌を繁殖しやすいため、においも強くなってしまう。
〇足のにおい
足の独特なにおいの原因は、多量にかく汗と、角質、靴にあります。足の裏には背中や胸に比べて5〜10 倍の汗腺があり、1日にコップ1杯ほどの汗をかくこともある。また、足の裏は身体で最も角質が厚い部分のため、靴下や靴で密封された状態で汗が蒸発せずにこもると、角質がはがれ落ち、それを栄養分として雑菌が繁殖。これによって足のにおいが発生する。
〇わきのにおい
わきは一般の汗とは異なり、汗自体がにおう。わきの下など限られた部位に存在する「アポクリン汗腺」から出る汗がもとになっており、尿素やアンモニアなどが含まれるためだ。それが細菌によって分解された脂肪酸などの物質と混ざることで、強い体臭になる。
〇加齢臭
加齢とともに皮膚の潤いを保つ役割をもつ皮脂の中に、パルミトレイン酸という脂肪酸と、過酸化脂質という物質が増加。この 2 つが結びついて分解・酸化されると「ノネナール」というにおい物質が発生し、これがにおいのもととなる。男性では 40〜60 代、女性は更年期後の 60 代以降に強くなる傾向がある。
また、加齢臭は、皮膚の表面だけでなく、毛穴から放出される場合もある。腸の機能が低下すると、老廃物としてにおい成分が多く生成されます。通常は肝臓で無臭化されるが、肝臓の機能の低下により、血液と共に体内のにおい成分が全身を巡り、これが毛穴から出ると体臭となる。
〇疲労臭(アンモニア臭)
疲労臭(アンモニア臭)は、腸内細菌の乱れや肝臓の働きが弱まったりすると、アンモニアが過剰に発生して体外に排出されることで起こる。加齢やストレス、疲労で肝臓の機能が低下すると、体内のアンモニアの処理が追い付かず、血液中のアンモニア濃度が上昇。皮膚からの放散量が増えてしまいにおいとして感じられる。
<においの対策>
ストレスや偏った生活の乱れなどの悪い習慣があると、体内から発生するにおいを強める原因となる。また、何らかの病気が原因で体臭や口臭が起こるケースもある。特に肉中心の食事やたんぱく質の過剰摂取、運動不足は、においのもとになる皮脂の分泌を促し、ストレスは過酸化脂質をつくる活性酸素を増加させる。そのため、ストレスの低減とともに、疲労に気を付け、腸内環境を整えることがにおい対策として重要である。
また、皮膚表面のにおいには汗と皮脂、雑菌が大きく関係している。これらの過剰な分泌や増殖を抑えることはにおいの予防のために大切だ。朝、シャワーを浴びて皮脂を洗い流し、体臭、汗臭を防ぐ効果のある薬用石けんなどで一時的に雑菌の繁殖を防いで、皮膚を清潔に保つことがおすすめだ。
汗がにおいを発生させるまでは約1時間とされている。それまでに濡れタオルや汗拭きシートなどで、汗の成分や雑菌、皮脂汚れを取り除こう。