小野薬品は31日、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボによる術後補助療法の周術期療法について、欧州医薬品庁 (EMA)の医薬品委員会(CHMP)が、非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者の治療法として承認を推奨したと発表した。28日に提携するブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS)が公表したもの。
対象は、PD-L1発現レベルが 1%以上で再発リスクが高い切除可能なNSCLC。CHMPの肯定的な見解は、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法の周術期療法レジメンが、同試験の主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したCheckMate -77T試験の結果に基づくもの。CHMPの見解は、今後、欧州連合(EU)で医薬品を承認する権限を持つ欧州委員会(EC)によって審査される。
CheckMate -77T試験では、副次有効性評価項目である病理学的完全奏効(pCR)およびMajor Pathological Response(MPR)でも、臨床的に意義のある改善が示された。この周術期療法レジメンの安全性プロファイルは、NSCLCを対象とした試験でこれまでに報告されているものと一貫していた。CheckMate -77T試験は、もう1つの主な副次評価項目である全生存期間(OS)を評価するため進行中である。
2024年10月、CheckMate -77T試験に基づき、米国FDAは、切除可能(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)なNSCLCを有し、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陰性または未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子の再構成を伴わない成人患者の治療法として、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法を承認した。
CheckMate-77T試験は、切除可能な非転移性NSCLC治療において、免疫療法薬を含む併用療法による当社の2つ目の肯定的な無作為化P3試験である。オプジーボは、NSCLC治療において、術前補助療法単独および周術期療法の両方でP3相データを有する唯一の免疫療法薬である。
また、オプジーボ単剤療法とオプジーボを含む併用療法は、肺がん、膀胱がん、食道/胃食道接合部がんおよび悪性黒色腫の4つのがん腫の術前補助療法または術後補助療法で有効性を示している。
EUでは、CHMPの見解を受けてから約2カ月以内に、ECによる最終的な決定が下される。ECの承認は、EUの全加盟国に加え、欧州経済領域(EEA)に参加するアイスランド、ノルウェーおよびリヒテンシュタインの3カ国に適用される。
◆Dana WalkerBMSバイスプレジデント兼オプジーボ開発担当グローバルプログラム責任者(M.D.、M.S.C.E.)のコメント
早期ステージのNSCLC患者さんにおけるがんの再発の防止および長期的な予後の改善は、アンメットニーズの解消を目指す上で必要不可欠であり、当社の最優先事項のひとつである。 CHMPによる今回の肯定的な見解を受け、PD-L1発現レベルが1%以上の切除可能なNSCLC患者さんを対象とした当社の2つ目のオプジーボを含むレジメンが、欧州連合での承認に向けて一歩前進することができたことをうれしく思う。