ファンペップは12日、花粉症を対象疾患として開発中のアレルギーワクチン「抗体誘導ペプチド FPP004X」について、臨床試験を開始すると発表した。
同社では、P1試験の治験計画届を2月10日に提出し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による所定の調査(30日調査)が終了し、臨床試験開始至ったもの。
FPP004Xに関しては、2024年3月に塩野義製薬との間でオプション契約を締結しており、塩野義製薬は全世界での全疾患に対する独占的研究開発・商業化権の取得に関するオプション権を保有している。
花粉症は、スギやヒノキ等の植物の花粉に対する過剰なアレルギー反応を起こすアレルギー疾患である。代表的な症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみなどがある。
日本国内の全国疫学調査による有病率は、2019年に花粉症全体で 42.5%、患者数の多いスギ花粉症で38.8%と高く、またそれぞれ10年前(2008年)と比較して10%以上上昇している。
花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医薬品(内服薬)市場は約1700億円(2019 年)である。このため、政府は、国民病とも言われ、多くの国民を悩ませ続けている花粉症を社会問題として捉え、花粉症対策に取り組んでいる。
抗体誘導ペプチド FPP004Xは、体内で IgEに対する抗体産生を誘導することにより治療効果を期待するアレルギーワクチンである。IgEは、体内に入った異物を排除する働きを持つ抗体の一種で、花粉等の原因物質(アレルゲン)に結合するとアレルギー反応を引き起こす。
FPP004Xは、免疫細胞に抗IgE抗体を一定期間産生させるため、アレルギーに対する持続的な効果が期待される。この特長を活かし、ファンペップは、花粉症を第一の適応症として、花粉飛散前に投与することでシーズンを通して症状を緩和できる患者にとって利便性の高い新しい治療選択肢の提供を目指している。
なお、同件は、ファンペップグループの2025年12月期業績に対する影響はない。