小野薬品は10日、オプジーボとヤーボイの併用療法について、欧州委員会(EC)より切除不能または進行肝細胞がん(HCC)のファーストライン治療として承認を取得したと発表した。提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が7日に公表したもの。
今回の承認の決定は、P3相CheckMate-9DW試験結果に基づいている。同結果は、2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会 、2024年欧州臨床腫瘍学会および2025年 ASCO 消化器がんシンポジウムで発表された。
この結果では、オプジーボとヤーボイの免疫療法薬2剤による併用療法により、臨床試験の主要評価項目である全生存期間(OS)において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示された。同試験では、対照群の患者の85%がレンバチニブの投与を受け、15%がソラフェニブの投与を受けた。
OS中央値は、オプジーボとヤーボイ併用群で23.7ヵ月(95% CI:18.8–29.4)、治験責任医師が選択したレンバチニブまたはソラフェニブ群で20.6ヵ月(95% CI:17.5–22.5)であった(HR:0.79(0.65–0.96);p=0.018)。
OSのベネフィットは臨床的に重要な患者サブグループ全体で認められた。また、奏効率(ORR)について、レンバチニブ群またはソラフェニブ群では13.2%(95% CI:9.8~17.3;p<0.0001)であったのに対し、オプジーボとヤーボイ併用群では36.1%(95% CI:31-41.5)でより高い奏効が示された。
オプジーボとヤーボイ併用療法の安全性プロファイルはこれまでに報告されたデータと一貫しており、確立されたプロトコールによって管理可能であり、新たな安全性シグナルは認められなかったた。
切除不能または進行肝細胞がんの成人患者に対するファーストライン治療として、オプジーボおよびヤーボイ併用療法のECによる今回の承認により、欧州連合(EU)の27加盟国を始め、アイスランド、リヒテンシュタインおよびノルウェーにおいて使用できるようになる。HCCでの承認に加え、EUでは複数のがん腫の治療薬としてオプジーボをベースとした治療選択肢が承認されている。
また、2024年8月には、米国FDAが、切除不能なHCC成人患者のファーストライン治療として、オプジーボとヤーボイの併用療法の 生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理。処方箋薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了の目標期日を2025年4月21日に設定した。 オプジーボとヤーボイの併用療法は、P2相CheckMate-040試験の結果に基づき、進行HCC患者のセカンドライン治療として2020年にFDAにより迅速承認されている。
◆Dana Walker BMSバイスプレジデント兼オプジーボ開発担当グローバルプログラム責任者(M.D.、M.S.C.E.)のコメント
今回のオプジーボとヤーボイ併用療法の欧州委員会による承認は、免疫療法薬2剤での併用療法の価値を示すエビデンスがさらに蓄積されることに加え、肝細胞がん患者さんの生存期間を延長する可能性のある重要で新たな治療選択肢になる。
肝がん患者さんの転帰改善に向けた当社の取り組みにとって重要なマイルストーンとなるこの新たなファーストライン治療をEUの患者さんにお届けできることを楽しみにしている。