キイトルーダ、レンバチニブと化学療法の併用療法 特定の胃食道腺がんP3試験で好結果 MSD

 MSDは21日、キイトルーダとエーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)レンバチニブに化学療法を加えた併用療法について、特定の胃食道腺がんを対象としたP3試験(LEAP-015試験)で好結果を得たと発表した。
 同併用療法の中間解析において、二つの主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)と、重要な副次評価項目である奏効率(ORR)について、標準治療の化学療法と比較して統計学的に有意な改善を示したもの。
 試験は継続され、その後の最終解析において、もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)は統計学的に有意な延長を示さなかった。
 なお、同併用療法の安全性プロファイルは、同併用療法を評価したこれまでの試験で報告されているものと一貫していた。引き続き、同試験のデータの最終的な評価を進めており、両社はその結果を今後の医学学会で発表する。
 キイトルーダとレンバチニブの併用療法は、日米欧をはじめとする世界各国において、進行腎細胞がんおよび特定の進行子宮内膜がん(日本では子宮体がん)の適応で承認を取得している。レンバチニブは、EUでは進行腎細胞がんの治療薬としてKISPLYXの名称で販売されている。
 両社は、LEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムを通じて、肝細胞がん、食道がんに対して同併用療法を評価する複数の臨床試験を実施している。
 米国では、キイトルーダは胃がんの適応として、P3相KEYNOTE-859試験のOSなどのデータに基づき、HER2陰性の局所進行切除不能または転移性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの成人患者さんに対する一次治療においてフッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法が承認されている。
 また、キイトルーダは、FDAが承認する検査でPD-L1陽性(CPS≧1)で、HER2陽性の局所進行切除不能または転移性の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの成人患者に対する一次治療においてトラスツズマブ、フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法が承認されている。
 この適応はP3相KEYNOTE-811試験における腫瘍縮小効果と治療効果の持続のデータに基づき迅速承認された。同適応症の承認維持の条件として、検証的試験による臨床上の効果の確認および説明が必要となる場合がある。
 同様に、米国では、キイトルーダは食道がんにおいて、外科的切除または根治的化学放射線療法が適さない局所進行または転移性の食道がんまたは食道胃接合部がん(腫瘍の中心が食道胃接合部の上1〜5cmにあるもの)に対する治療においてプラチナ系薬剤およびフッ化ピリミジン系薬剤を含む化学療法との併用療法が承認されている。これは、P3相KEYNOTE-590試験のOSなどのデータに基づき承認されたものである。
 今回のLEAP-015試験の結果は、キイトルーダとレンバチニブの併用療法の現在承認されている適応症、ならびに他の進行中のLEAP臨床プログラムの試験に影響を与えるものではない。

◆グレゴリー・ルビニエツキMSD研究開発本部グローバル臨床開発担当バイスプレジデント(博士)のコメント
 局所進行切除不能または転移性胃食道腺がんは、依然として治療が難しい疾患であり、世界でのがんによる死亡の主な原因となっている。これらの研究結果は、本併用療法に関する我々の理解を深め、より多くのがん患者さんの予後を改善するために努力する我々の将来の研究に役立つ。

◆Corina Dutcusエーザイシニアバイスプレジデント、オンコロジーグローバル臨床開発リード(博士)のコメント
 胃がんや胃食道がんは、不均質な腫瘍であり予後不良のため、依然として課題を抱えている。LEAP-015試験では、キイトルーダとレンバチニブに化学療法を加えた併用療法は、全生存期間の統計学的に有意な延長は示せなかったが、無増悪生存期間や奏効率を改善したことは意味のある結果であると受け止めている。
 これらの結果は、複雑な本疾患に対するサイエンティフィックコミュニティの理解を深め、オンコロジー研究における知見の蓄積につながる。

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