日本新薬は14日、米国リジェネックスバイオ社と、ムコ多糖症Ⅱ型(MPSⅡ)を期待適応症とする遺伝子治療剤RGX-121、およびムコ多糖症Ⅰ型(MPSⅠ)を期待適応症とする遺伝子治療剤RGX-111に関する提携契約を締結したと発表した。
同契約に基づき、日本新薬はRGX-121およびRGX-111の米国における独占的販売権と日本を含むアジアにおける独占的開発販売権を取得する。米国においては、同社の米国子会社であるNS Pharmaが販売・販促活動を実施する予定である。
なお、同契約の発効は、米国ハート・スコット・ロディノ(HSR)反トラスト改正法上の審査が完了することを条件としている。
ムコ多糖症は、遺伝的な要因により特定の酵素が欠損、もしくは酵素活性が低下し、ムコ多糖の一種である特定のグリコサミノグリカン(GAG)が蓄積する先天性代謝異常疾患で、原因となる遺伝子によっていくつかの病型に分類される。
GAGの蓄積により、重症例では中枢神経系を含む全身の臓器に障害をきたし、その予後は10歳から15歳までとされている。現在のところ根治療法はなく、酵素補充療法などによる進行抑制が治療の中心となっている。
RGX-121およびRGX-111は、それぞれMPSⅡおよびMPSⅠに対するファースト・イン・クラスの遺伝子治療剤で、欠損する酵素の遺伝子を導入することにより、対象の酵素が体内で合成され、疾患の進行を長期間にわたり抑制すると考えられている。
RGX-121は現在、米国において段階的承認申請中である。また、米国FDAより、希少小児疾患指定、再生医療先進医療認定、希少疾病用医薬品指定、ファストトラック指定を受けている。
RGX-111は、米国、ブラジル、イスラエルにおいてP1/2試験を実施中である。また、FDAより希少小児疾患指定、希少疾病用医薬品指定、ファストトラック指定を受けている。
日本新薬では、難病・希少疾患を注力領域として位置づけている。RGX-121およびRGX-111は、ムコ多糖症で悩む患者の治療により貢献できるものと期待している。