アッヴィ合同会社は20日、ベネトクラクスについて、未治療の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の治療薬として日本で適応追加申請したと発表した。
ベネトクラクスは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)と呼ばれる体内の特定タンパク質を標的とする経口BCL-2阻害剤で、がん細胞で失われてしまったアポトーシス(がん細胞の自然死)または自己破壊の過程を回復させる作用がある。
今回の申請は、未治療のCLLおよびSLL患者さんを対象とする日本国内P2試験(M20-353)、海外実施のP3試験(BO25323 およびCLL3011)などの結果に基づくもの。
日本においてベネトクラクスは、2019年9月に再発または難治性のCLL(SLLを含む)の適応症に対する治療薬として、製造販売承認を取得している。2020年6月には、急性骨髄性白血病(AML)に対する希少疾病用医薬品指定を厚生労働省より取得し、2021年3月にAMLの適応症に対する治療薬として製造販売承認を取得している。
CLLは、欧米では最も多く見られる白血病で、成人の白血病全体の約30%を占めている。だが、日本でのCLLの推定総患者数は約6000人と報告されており、日本では患者数の少ない稀な疾患である。
CLL診断時の年齢中央値は70歳で、発症率の男女比では女性よりも男性に多いとされている。予後不良のリスクが高い患者においては、遺伝的要因を有する患者が含まれる。SLLについては、末梢血や骨髄への浸潤がないCLLと同一の細胞の腫瘍と定義されている。多くは緩徐な経過を示すが、一部に進行が速く、予後不良なものがみられる。
未治療のCLL患者に対する治療法の選択は、年齢、併存疾患および遺伝的要因などを考慮して決定される。既存の治療法は長期間にわたる投与が必要であり、毒性や疾患の進行、服薬遵守が課題となり、治療継続が困難な場合がある。
だが、海外と比較し、日本では未治療のCLLおよびSLL患者に対する一次治療の適応をもつ治療薬は限定されているのが現状だ。こうした背景から、未治療のCLLおよびSLLの患者さんに対して、長期的な臨床転帰の改善を固定投与期間で示すことができる新たな治療選択肢へのアンメットニーズがあると考えられる。