メンタルヘルス領域の新規治療薬開発でMIT・ハーバード大学ブロード研究所と提携 ベーリンガーインゲルハイム

 ベーリンガーインゲルハイムは14日、MIT・ハーバード大学ブロード研究所のスタンレー精神医学研究センターとメンタルヘルス疾患を抱える人々の緊急かつ未解決なニーズの解決に取り組む協働プロジェクトに合意したと発表した。
 同提携では、当事者だけでなくケアパートナーや家族にも大きな影響を及ぼす統合失調症や気分障害などのメンタルヘルス疾患に伴う認知機能障害に関連した睡眠障害に対処するためのファースト・イン・クラスの治療薬の開発に重点を置く。
 同提携に伴いブロード研究所は、研究資金に加え、一時金と開発、申請・承認、販売マイルストーンペイメントとして、最大1億2650万ドルを受け取りる。さらに、ベーリンガーインゲルハイムによる将来的な製品販売に対して、段階的なロイヤリティを受け取る。
 現在、世界の8人に1人が深刻なメンタルヘルス疾患を抱えており、2人に1人が一生のうちにそのような疾患を経験する。認知機能障害は、メンタルヘルス疾患の主要な特徴の1つで、問題解決能力、注意力、記憶力に影響を及ぼし、自立した労働、学習、生活を妨げる。
 現在、認知機能障害に対する治療薬は存在しないため、ベーリンガーインゲルハイムは、この極めて重要なアンメットニーズに対処する新たな方法を模索している。
 メンタルヘルス疾患を抱える方の多くは、脳波(EEG)に見られる睡眠紡錘波密度の低下を特徴とする睡眠障害に悩まされている。睡眠障害では、正常な認知機能に不可欠な睡眠による記憶の固定が損なわれる。これにより、認知機能障害が悪化し、その他の学習・記憶障害も悪化する可能性がある。
 特定のイオンチャネルの機能不全は、睡眠障害と関連している。今回の新たな提携により、ベーリンガーインゲルハイムとブロード研究所は、睡眠パターンを正常化し、認知機能を改善できる可能性のある治療薬の開発に取り組む。

◆Hugh MarstonベーリンガーインゲルハイムCNS疾患研究部門責任者(Ph.D.)のコメント
 ブロード研究所のチームは、これらのイオンチャネルの独自の役割を理解する上で大きく前進した。これにより、現在治療法がない認知機能障害に対処する全く新しい方法が拓かれた。
 この新たなアプローチは、統合失調症における認知機能障害に取り組む当社のポートフォリオを補完するものである。これにより、当事者の方々一人ひとりの状態によりフィットしたメンタルヘルスの治療が提供され、この病気の負担を軽減できる可能性がある。

◆Jen Q. Panブロード研究所、スタンレー精神医学研究センタートランスレーショナル神経生物学担当研究員・所長(Ph.D.)のコメント
 ブロード研究所で開発した非臨床段階の化合物の研究をさらに進めたいと考えている。認知機能障害に取り組むベーリンガーインゲルハイムとの提携により、メンタルヘルス疾患を抱える方々のアンメットニーズに対して革新的なソリューションを提供するという共通のミッションが大きく前進する。

◆Morgan Shengスタンレー精神医学研究センター共同所長(M.D.、Ph.D.)のコメント
 スタンレー精神医学研究センターは、統合失調症および双極症の当事者の人々の生活の質を向上させる治療薬の開発を目指し、これらの疾患の生物学的メカニズムの理解に取り組んでいる。ベーリンガーインゲルハイムとの提携により、これらの発見を新しい治療薬につなげられることに期待している。

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