バイエルは10月31日、Dewpoint社と、特異的遺伝子変異を特徴とする拡張型心筋症患者の治療のための心臓病プログラムに関する独占的ライセンス契約を 締結したと発表した。
同契約は、バイエル社における特異的遺伝子変異を特徴とする拡張型心筋症患者に特化した疾患修飾薬の開発・商業化のためのグローバルライセンス取得を目的としたもので、バイエル社とDewpoint社との2019年11月からの研究提携に基づく最初のオプション権行使となる。
循環器疾患および腎疾患の新たな治療薬を開発するために、Dewpoint社独自の生体分子凝縮体プラットフォームとバイエル社の低分子化合物の研究開発ノウハウを活用する。
同契約に伴いDewpoint社はロイヤルティを除き、契約一時金および開発・商業化マイルストーンの総額として推定4億2400万ドルを受領する。バイエル社は戦略的投資部門である Leaps by Bayer を通じて、2019年1月にDewpoint社の資金調達ラウンドシリーズA に参加した。
拡張型心筋症は、心室が拡大し、血液を効果的に送り出すのが難しい心筋疾患だ。同ライセンスプログラムは、疾患関連凝縮体の形成を引き起こす遺伝子変異に関係している特定の拡張型心筋症に対応する革新的な方法に焦点を当てている。
この特定の拡張型心筋症は、心不全の早期発症と生命を脅かす不整脈の頻発を特徴とするアンメットメディカルニーズの高い重篤な疾患である。
◆ユルゲン・エックハルトドイツ・バイエル社医療用医薬品部門事業開発&ライセンシング責任者のコメント
創薬における最大の課題の一つは、創薬不可能なヒトプロテオームへの対応である。生体分子凝縮体という新たなパラダイムは、新規標的や、これまで難しいとされてきた標的への新たなアプローチを明らかにすることにより、低分子化合物のこれまでの創薬標的領域を拡大しつつある。
我々は、アンメットニーズが最も高い循環器疾患の患者さんに、革新的な医薬品を提供したいと考えており、Dewpoint Therapeutics 社と共に、このイノベーションの新しい波に参加できることをうれしく思う。
◆アミート・ナスワニDewpoint Therapeutics社CEO のコメント
バイエル社との共同研究により、拡張型心筋症の治療を一変させる可能性を秘めた新しい創薬を進めることをうれしく思う。最初の創薬プログラムのライセンス供与は、複雑な疾患の根底にある凝縮体ドライバーを同定して標的とする当社独自の凝縮体をベースとしたアプローチの科学的な信頼性を強調している。
このプログラムにおける前臨床所見は、凝縮体を修飾する低分子化合物が基本的な疾患プロセスを反転させる可能性を示している。バイエルがこのエキサイティングなプログラムのオプション権を行使したことは、循環器疾患と腎疾患の革新的な治療薬を探求するわれわれの継続的な協力関係のさらなる強化につながる。