ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)は29日、悪性リンパ腫の企業主導治験において岡山医療連携推進協議会(CMA-Okayama)の治験・臨床研究ネットワークとの連携により患者の来院に依存しない分散型臨床試験(DCT)システムの一部利用を開始したと発表した。
同臨床試験システムは、BMSとMICIN、岡山大学病院、岡山医療連携推進協議会が協働で推進しているもの。国内でのドラッグラグおよびドラッグロスの解消に向け、治験に関する情報格差や患者の治験参加へのアクセスは重要な論点の一つとなっている。特に、がん領域では、患者数が少ない希少がんや、希少フラクションや特定のサブタイプを対象にした治験において、患者の居住地を問わず治験への参加を可能にするDCTの推進が期待されている。
岡山医療連携推進協議会のCMA治験ネットワークでは2024年2月よりDCT活用の検討を、MICINとともに進めている。4月にはCMA治験ネットワークの加盟医療機関が3施設増え、合計10施設になった。合計で病床数は5200床、外来患者数は一日あたり約1万0400名に上る。
MICINのDCTプラットフォーム「MiROHA(ミロハ)」の一部機能活用により、治験実施医療機関である岡山大学病院を受診中の患者だけでなく、CMA治験ネットワークに加盟する医療機関を受診中の患者にも治験アクセスの提供が可能となる。
患者は遠隔で説明を受け、治験実施医療機関を訪問せずとも治験参加を検討する機会を得ることができ、患者負担を減らし、病院間での患者紹介のさらなる加速が期待される。
◆スティーブ・スギノBMS代表取締役社長のコメント
我々の活動の中心には常に患者さんがいる。弊社では、これまでも患者さんの治験アクセス改善のために様々な活動に取り組んできた。DCT治験が加速することで、これまで治験参加の機会がなかった患者さんへの治療機会提供に繋がると期待している。弊社では、DCTを活用した患者中心の治験を実現するため、今後DCTプラットフォーム「MiROHA(ミロハ)」の他疾患領域への展開も検討していく予定である。
◆原聖吾MICIN代表取締役のコメント
MICINは岡山医療連携推進協議会と連携しDCT活用に関して取り組んできた。今回治験実績の豊富な岡山大学病院と、地域連携ネットワークに積極的に取り組む岡山医療連携推進協議会、患者さんの治験アクセス改善に積極的に取り組むBMSとともにDCTを活用した治験を実施することで、患者さんと医療従事者の双方にとってアクセスしやすい治験環境提供と、悪性リンパ腫領域における効率的な治験実施に繋がることを確信している。
DCTと地域連携ネットワークを用いた画期的な連携モデルを通じて、患者さん中心の治験の確立に向け取り組んでいく。
◆櫻井淳岡山大学病院新医療研究開発センター治験推進部長のコメント
岡山大学病院はこれまで患者さんへ新しい治療薬や医療技術を提供するための様々な事業を行ってきた。岡山医療連携推進協議会との連携と、それによる地域での治験活性化はその特徴的な事業の一つである。
今回のBMS並びにMICINとアライアンスを結ぶことにより、デジタル技術を活用して患者さんの負担を少なく、効率的に治験を実施することが可能となる。当院はこれからも我が国の治験活性化と、革新的医療技術の発展のために取り組んでいく。
◆前田嘉信岡山医療連携推進協議会、CMA治験ネットワーク事務局長(岡山大学病院長)のコメント
CMA治験ネットワークは加盟医療機関の強固なネットワークにより、高い症例集積性を実現し、目標症例数達成のコミットメントを方針として取り組んでる。その基盤の上にDCTを導入し、当ネットワークとしてDCTプラットフォームを整備することで、より効率的な治験の推進に繋がり、また症例集積の加速が期待できる。
治験活性化において、中規模施設が多い日本の特殊性に対するDCTは、一つの解になり得ると考えており、効果的なネットワーク機能の構築と活用により、日本の医療技術の発展に寄与し、瀬戸内に留まらず、日本の治験を牽引する存在となれるよう成長を続けていく。