新規APRIL抗体「シベプレンリマブ」 IgA腎症P3試験中間解析で好結果大塚製薬

 大塚製薬は22日、IgA腎症を対象としたシベプレンリマブ(一般名)のP3試験における中間解析結果において、同剤投与9ヵ月後の24時間uPCR(尿蛋白/クレアチニン比)のベースラインからの変化が、プラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある減少を示し主要評価項目を達成したと発表した。
 IgA腎症は、慢性腎臓病の原因疾患である慢性糸球体腎炎の1つである。世界的に最も一般的な原発性糸球体腎炎で、成人における腎不全の最も一般的な原因だ。この疾患は、10年の平均余命の短縮と関連しており、少なくとも最適化された標準治療にもかかわらず、罹患患者の30%は20~30年以内に腎不全に至る。
 現在の標準治療は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)遮断薬と適切な血圧コントロールに基づくものの、腎不全のリスクは依然として高いことが課題となっている。
 シベプレンリマブは、IgA腎症の発症と進行に重要な役割を果たすと考えられている免疫細胞増殖因子であるサイトカインAPRIL(A PRoliferation Inducing Ligand)の作用を阻害するヒト化モノクローナル抗体で、大塚製薬の子会社であるビステラ社(本社:米国マサチューセッツ州)が創製したもの。
 なお、シベプレンリマブはP2試験(ENVISION試験)の良好な結果を受け、IgA腎症を対象に、米国FDAよりブレークスルーセラピー指定を取得している。
 独立データモニタリング委員会により実施された中間解析では、P3(VISIONARY)試験(NCT05248646)において、主要評価項目であるシベプレンリマブ投与9ヵ月後の24時間uPCR(尿蛋白/クレアチニン比)のベースラインからの変化が、プラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある減少を示し、主要評価項目を達成した。
 シベプレンリマブの安全性プロファイルは、これまでに報告されたデータと一致していた。同試験は、同疾患における試験では最大となる約530名の成人患者を対象とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。
 標準治療(最大耐用量のACE阻害薬またはARB に、必要に応じてSGLT2阻害薬を投与)を受けている成人のIgA腎症患者を対象に、シベプレンリマブ400mgを4週間ごとに皮下投与し、プラセボ群と比較してその有効性と安全性を評価している。
 P3試験は、副次評価項目であるeGFR(推算糸球体濾過量)で測定される24ヶ月間の腎機能変化を評価するために継続されており、2026年初頭に終了する予定である。
 大塚製薬は、今回の良好な中間解析結果に基づき、米国での早期承認申請に向けてFDAと協議を進めていく。

◆John Kraus OPDC(大塚製薬米国子会社)上級副社長兼医学責任者のコメント
 本試験で得られた良好な中間解析の結果は、APRILを標的とすることで、新規治療に対するアンメットニーズに応え、この進行性腎疾患に苦しむ人々に新たな治療戦略を提供できる可能性があることを示している。今回は中間解析の結果ですが、試験が完了し、全ての結果が出ることを楽しみにしている。

◆Brian Pereiraビステラ社CEOのコメント
 シベプレンリマブの開発が順調に進んでいることを喜ぶとともに、IgA腎症患者さんに必要とされる根本治療として、疾患修飾薬による新たな治療選択肢になることを期待している。

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