タクザイロ P3試験で小児患者のHAEの発作抑制で好結果 武田薬品

 武田薬品は1日、タクザイロ(遺伝子組換え)について、P3相試験(SPRING試験、NCT04070326)において2歳以上12歳未満の患者における遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作抑制について良好な結果を示したと発表した。
 同結果は、これまでの成人および12歳以上の小児患者さんを対象とした研究結果と一致している。現時点では、6歳未満のHAE患者に対して承認されている長期予防治療薬(LTP)はない。
 これらの結果は、同日ハイブリッドで開催された2022年欧州アレルギー臨床免疫学会議(European Academy of Allergy and Clinical Immunology:EAACI)で報告された。
 多施設非盲検臨床P3相試験であるSPRING試験の主要評価は、2歳以上12歳未満のHAE患者さんを対象とした、タクザイロの安全性および薬物動態(PK)である。
 また、副次評価項目として、HAE発作抑制の臨床効果を評価している。
 同試験では、同剤150 mg を2歳以上6歳未満の患者では4週毎に、6歳以上12歳未満の患者では2週毎に投与した。
 タクザイロは投与開始時と比較して小児患者におけるHAEの発作発症率を平均94.8%低下させ、投与期間における発作は1か月あたり1.84回から0.08回になった。
 患者の大多数(76.2%)は、52週間の投与期間中に無発作となり、平均99.5%の日数が無発作日となった。同試験中に報告された死亡または重篤な有害事象(TEAEs)はなく、TEAEsにより試験を中止した患者はいなかった。
 最も多く報告されたTEAEは、注射部位疼痛であり、ほとんどのTEAEsは軽度または中等度であった。これらの結果は、成人および12歳以上の小児患者を対象とした既に実施された試験で確認されたタクザイロの良好な有効性および安全性プロファイルと一致している。
 多施設非盲検臨床P3相SPRING試験の結果の概要は、次の通り。

・全体でラナデルマブ投与中の発作発症率は投与開始時と比較して約95%低下した。
 △抑制率は、ラナデルマブ150 mgを4週毎もしくは2週毎に投与した患者で同等であった。

・ラナデルマブの全身への曝露が示された。

・2週毎に本剤300mgを投与された成人患者と12歳以上の小児患者との比較
△6歳以上12歳未満の患者さんにおける2週毎の本剤150 mg投与による定常状態曝露は同等であった。
△2歳以上6歳未満の患者さんにおける4週毎の本剤150 mg投与による最小定常状態濃度は50-60%低くなったが、臨床的に意味のある治療反応を得るには十分であった。

・16名(76.2%)の患者さんが全投与期間において無発作であった。

・平均値99.5%(値域:96.4-100)の日数が無発作であった。
・全体で17名(81.0%)の患者さんが何らかのTEAEsを報告した。
△7名(33.3%)の患者が治療に関連する何らかのTEAEを報告し、いずれも注射部位と関連していた。
△関連するTEAEsのプロファイルは両治療群間において同様であった。
△死亡および重篤なTEAEs、入院またはTEAEsによる中止はなかった。

・特に注目すべき有害事象(過敏性反応、凝固性亢進、出血事象)はなかった。

・臨床検査値またはバイタルサインに関して、臨床的に意味のある安全性の所見は確認されなかった。

 これらのデータは、タクザイロの低年齢の患者への適応拡大に向けて、世界各国の規制当局に提出される予定である。

 HAE発作は、腹部、顔面、足、性器、手、喉などに深刻かつ体を衰弱させる腫脹を引き起こすことがあり、幼少期の極めて早期に発症する場合がある。
 上気道血管性浮腫は、3歳の子どもでも致命的な症状を示すことが報告されている。HAEの診断は症状が現れてから平均8.4年かかる。8HAEの成人患者の50%は不安を感じ、34%は社会活動における困難を経験し、58%は症状が仕事の昇進に悪影響をおよぼしていると報告されている。

◆シャリテー・ベルリン医科大学(ドイツ)皮膚科・アレルギー科教授で、同試験の研究責任医師のマルクス・マウラー氏のコメント 遺伝性血管性浮腫は深刻な浮腫などの予測不可能な症状が、小児患者さんに身体的にも精神的にも負担を与えうる希少疾患である。
 SPRING試験では、投与開始時には月に平均約2回の遺伝性血管性浮腫の発作に悩まされていた小児患者さんの大多数が、タクザイロによる治療で52週間にわたり無発作であった。

◆武田薬品グローバルクリニカルリードのミン・ユ氏のコメント
 SPRING試験のデータは、様々な遺伝性血管性浮腫の患者さんにおいてタクザイロの安全性および有効性を確固とするものである。
 現在、長期予防治療薬が承認されていない2歳の小児患者さんにおいて、再発性HAE発作を抑制する長期予防治療薬の可能性を示す今回の知見を大変心強く思う。

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