ロート製薬は3日、難治性創傷を対象とした創傷治療システムの多血小板血漿ゲル調製キット「オートロジェル システム」が、10 月1日より保険適用されたと発表した。
オートロジェル システムは、疾患への適応を有する自己多血小板血漿(PRP)療法の医療機器として、既存治療が奏効しない創傷に対する新たな治療システムだ。患者本人の血液から分離した多血小板血漿を薬剤によりゲル化させたものを患者の損傷部位に塗布することで創傷治療を促進させるキットである。
同キットの特長は、①ゲル化することで損傷部位に容易に塗布ができる、②治験により有効性・安全性を評価し承認を取得、③新たな感染症や拒絶反応の危険性が少ない自己血液から調製ーが挙げられる。
難治性創傷は、治癒能力が働かず治療が困難で、長期間にわたる特性をもつ疾患である。日本では、高齢化の進展や糖尿病患者の増加に伴い、糖尿病性潰瘍をはじめとした慢性創傷を有する患者が増えてくると予想されている。中でも、足にできやすい糖尿病性潰瘍は、悪化すると下肢切断にいたることもあり、切断をした場合、切断後5年以内の死亡率が70%と報告されている。
このように治療が難しく予後も悪い難治性創傷に対し、医療現場では負担の少ない画期的な治療開発が求められ、近年では、国内外で自己多血小板血漿(PRP:Platelet-Rich Plasma)療法の創傷に対する有用性が報告されていた。
ロート製薬では PRP療法の新医療機器としての開発を進め、製造販売承認を取得している。この度の保険適用では、従来の PRP 療法に対して求められていた「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づく対応が、オートロジェルシステムでは不要となった。これにより、PRP療法を治療の選択肢の一つとして、より検討し易くなることが期待できる。