参天製薬は27日、STN1012600(一般名:セペタプロスト)について同日付で国内における製造販売承認の申請を行ったと発表した。
同剤は、小野薬品で創製されたセペタプロストを有効成分とするFP受容体およびEP3受容体デュアル作動薬である。眼圧下降剤としては新規メカニズムのプロスタグランジン誘導体の緑内障・高眼圧症治療剤で、セペタプロストを 0.002%含有している。
緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害されて視野欠損が進行し、適切に治療されなければ最悪の場合には失明に至る疾患で、今なお日本における眼疾患による視覚障害(視力低下や失明)の原因の第一位となっている。
緑内障の視神経障害および視野障害は、基本的には進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療によって進行をコントロールすることが不可欠であり、眼圧を下げることが緑内障の進行を抑制する有効な治療法である。緑内障の薬物療法において、FP 受容体作動薬、EP2 受容体作動薬または交感神経 β 受容体遮断薬などによる眼圧下降治療は有効であるが、目標眼圧を達成するために単剤による治療が不十分な場合は、薬剤変更または異なる作用機序の薬剤を追加する併用治療が推奨されている。
だが、使用する薬剤数の増加に伴うアドヒアランスの低下が問題となっている。また、薬剤治療抵抗性の患者に対する治療選択肢が限られており、夜間眼圧への作用が十分でないことなども課題となっている。
同剤の有効性については、国内で行われたP3試験(多施設無作為化評価者遮蔽並行群間比較試験)において、緑内障治療の第一選択薬の一つである 0.005%ラタノプロスト点眼液に対する 0.002% STN1012600点眼液の1日1回点眼における眼圧下降効果の非劣性が検証され。
また、国内で実施された長期投与試験(多施設無作為化非遮蔽並行群間比較試験)において、0.002% STN1012600 点眼液は、1年に渡り1日1回点眼での眼圧コントロールが示された。安全性の面においてはFP受容体作動薬特有の結膜充血や睫毛・眼瞼の変化が同剤でも同程度認められた。一方、全身の安全性について重篤な副作用は認められなかった。
◆ピーター・サルスティグ参天製薬チーフ メディカル オフィサーのコメント
緑内障は、日本における失明原因の第一位 となっており、数多くの患者さんが薬物療法を行っている。だが、単剤で目標眼圧を達成出来ない場合も多く、作用機序の異なる薬剤の追加併用や配合剤を使用する必要があるため、アドヒアランスの低下や副作用の懸念がない新しい治療薬が望まれている。
参天製薬は、緑内障を取り組むべき重要な疾患領域の一つと位置付け、長年にわたり様々な緑内障治療薬の開発と治療継続のためのソリューション提供を推進してきた。新規作用機序を有するSTN1012600の承認申請によって、緑内障治療現場のアンメットニーズを満たす、新たな第一選択薬提供の可能性を追求できることを大変誇りに思う。