武田薬品は19日、グローバルCSRプログラムの5つの新たなパートナーシップに総額46億円(約3200万ドル)以上を拠出し、 93カ国における健康増進を支援すると発表した。 同拠出は、低・中所得国の人々のための保健システムの強化に向けた取り組みの一環で、保健システムにおける格差の改善と地域社会のリーダーを支援することで、医療インフラの強化を目指す。加えて、保健従事者の能力の向上や地域住民の知識と能力の向上を通じて、公平かつ持続可能な医療のアクセスと提供を改善する。
これらの新規のパートナーシップにより武田薬品は、2030年までに93ヵ国2700万人の健康に貢献する見込みとなり、2016年にグローバルCSRプログラムが発足してから現在までで、34 のパートナーシップ、総額288億円(約1億9910万ドル)を拠出する。
本年度は80の国と地域で2万2000人以上の従業員が投票に参加する形で5つの新規パートナーシップを選出した。これは、同社のグローバルでの企業市民活動における協働と従業員の意見を尊重し、社会に貢献することを重視する姿勢を反映している。2024年度に新たに追加されたパートナーへの支援内容は次の通り。
◆ Population Services International (PSI) に10億700万円(約700万米ドル)を拠出し、エチオピア、ケニア、ナイジェリアで薬局でのワクチン接種を通じてワクチンのアクセスを拡大する。同プログラムでは薬局を国のワクチン接種プログラムに結び付け、保健システム内に新たなサービス拠点を作り、保健所の負担を軽減し、最終的にはアフリカ全土を通じてワクチン接種へのアクセスを拡大するブループリントを作ることを目指す。
◆Bulungula Incubatorに3億1000万円(約210万ドル)を拠出し、南アフリカのへき地ゾルハ・マウス行政区で地域主導の統合的な医療アプローチを国の保健システムと融合させ、へき地においても皆保険制度を確立する取り組みを実践し、地域の保健従事者を育成し、現地の学校、スポーツイベント、コミュニティラジオなどにも医療を統合する。
◆Reach Out Cameroon に11億6900万円(約810万ドル)を拠出し、カメルーン、コンゴ民主共和国、ナイジェリアで、長期的な紛争で極めて孤立した地域の女性や少女たちに適切な医療と心理的および社会的支援へのアクセスを高める。保健従事者・医薬品サプライチェーンマネージャー・若手リーダーの研修を行い、人口の多い地域の設備が整っていない270の医療施設で、より質の高い医療・物資・情報を提供できるよう対応能力を高める。
◆Seed Global Health に8億9500万円(約620万ドル)を拠出し、マラウイ、シエラレオネ、ウガンダ、ザンビアで、各国の医療目標を支援すべく、熟練した保健医療従事者の育成を支援する。これには、産婦人科と新生児救急医療の新規学術プログラムの立ち上げ、現地主導の母親と新生児の医療サービス研修と実践のための3つの中核的教育拠点の設置、地域で即実践力となる5,900人の有資格の保健医療従事者の教育などが含まれる。
◆VillageReach に12億5900万円(約870万ドル)を拠出し、コンゴ民主共和国、ギニア、マラウイ、タンザニア、ウガンダで、患者の検体を診断のための検査機関に迅速かつ確実に届け、感染症流行に迅速に対応する能力を強化できるよう各国の保健システムを支援し、感染症が流行する前により早急に封じ込める総合的な方策を立案する。その結果、これらの国では疾患をより早期に発見し、救命し、混乱の中でも脆弱な保健システムへの負荷が軽減することを目指す。
◆大薮貴子武田薬品チーフ グローバル コーポレート アフェアーズ&サステナビリティ オフィサーのコメント
1781年の創業以来、当社は患者さん、人々、そして地域社会を意思決定の中心に据えてきました。そして、長期にわたり世界中の健康課題の解決に寄与し、信頼されるパートナーとなるべく、2016年に発足したグローバルCSRプログラムを通じて尽力している。
今回の新しい5つのプログラムは、保健システム強化の基盤となることを目指している。これは、将来広く展開する方法、持続的な実行可能性および公平性を重視している。また、これらの長期的なパートナーシップは、実質的な成果だけに留らない。プログラムを通じて得た貴重な学びを共有することで、特に農村部や紛争地域の脆弱な立場の人々に、イノベーションと医療アウトカムの向上を波及することにつながるだろう。このようなパートナーシップを結べたことを誇りに思う。