エプコリタマブ 欧州委員会から再発・難治性濾胞性リンパ腫に対する条件付き承認取得 アッヴィ

 アッヴィは5日、エプコリタマブについて欧州委員会が再発または難治性濾胞性リンパ腫に対する治療薬としての条件付き承認を取得したと発表した。
 同剤は、欧州連合(EU)ならびに欧州経済領域(EEA)加盟国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー)および北アイルランドにおいて、R/R FLおよびR/Rのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の両疾患に対する治療薬として初めてかつ唯一承認された皮下投与によるT細胞誘導二重特異性抗体の治療薬となる。
 FLは、B細胞から発生する非ホジキンリンパ腫(NHL)の1つで、通常、進行が緩徐です。FLはNHLのうち2番目に多い一般的な病型で、NHLの全症例の20~30%を占めている。
 FLは治癒不能と考えられており、3次治療以降ではFLに対する標準治療はない。患者は多くの場合において再発し、再発を繰り返すたびに、次の治療までの寛解期間が短くなる。25%以上のFL患者は生存率が低く、NHLの悪性度の高い病型であるDLBCLへ徐々に転化していく可能性がある。
 今回の条件付き販売承認は、P1/2相EPCORE NHL-1試験のデータによって認められたもの。EPCORE NHL-1試験は、2回以上の全身治療歴を有するR/R FLの患者さんを対象にTEPKINLYの単独投与を評価する非盲検、多コホート、多施設共同、単一群試験である。
 この試験では、抗CD20モノクローナル抗体療法とアルキル化剤の両治療に不応だった患者(70%が2剤に治療抵抗性)、最後に受けた前治療に抵抗性を示した患者(82%)、初回全身療法の開始後2年以内に疾患が進行した患者(52%)が対象に含まれる。
 Lancet Haematologyで公表された試験結果によると、TEPKINLYの投与を受けた患者さん(n=128)における全奏効率(ORR)は83%、完全奏効(CR)率は63%であった。追跡期間中央値16.2ヵ月時点の奏効期間中央値は21.4ヵ月(13.7ヵ月~未達)であった。また、完全奏効期間(DOCR)は未到達であった。
 同試験では用量最適化コホートが別途設定されており、86名の患者を対象に、サイトカイン放出症候群(CRS)を低減させるために推奨された3段階のステップアップ用量について評価を行った。
 最適化コホートのサイクル1では、入院は必須ではなかった。また、最適化コホートのレジメンでは、患者の40%がグレード1のCRS、9%がグレード2のCRSを示した(グレード3以上のCRSの報告はなかった)。 このコホートでは、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は報告されていない。
 ピボタルコホートにおけるエプコリタマブの安全性プロファイルは、ピボタルEPCORE NHL-1試験のDLBCLコホートにおけるエプコリタマブ単独投与の報告と同等であった。統合した安全性解析対象集団(n=382)において、TEPKINLY投与によって最も高頻度(20%以上)で発現した副作用は、CRS、注射部位反応、疲労、ウイルス感染症、好中球減少症、筋骨格痛、発熱および下痢であった。
 最も高頻度(10%以上)で認められた重篤な副作用は、CRS(34%)であった。14名(3.7%)の患者で致死的な副作用[肺炎が9名(2.4%)、ウイルス感染症が4名(1.0%)、ICANSが1名(0.3%)]が認められた。

◆Mariana Cota Stirnerアッヴィvice president, therapeutic area head for hematology(M.D., Ph.D.)のコメント
 TEPKINLYが2回以上の前治療歴がある濾胞性リンパ腫の治療薬として欧州で承認されたことは、複数のB細胞性悪性腫瘍に対し中核となり得る治療法の1つとしてTEPKINLYを開発するという我々の志を一歩前進させるものである。
 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者さんに対する治療薬としての承認後、その適応が濾胞性リンパ腫に拡大されたことは、血液がん治療薬としての本剤の有用性を物語っている。
 我々アッヴィとパートナーであるジェンマブ社は、がん患者さんの治療を向上させるという使命を後押しする本日の承認取得を非常に喜ばしく思う。

◆Kate Rogers濾胞性リンパ腫財団最高経営責任者のコメント
 エプコリタマブが欧州委員会による承認を取得したことは、リンパ腫に係わる方々にとって期待が持てるニュースである。特に治療ラインを重ねるほど再発又は難治性の濾胞性リンパ腫が非常に治療困難な腫瘍となり得る事実を踏まえれば、このタイプの腫瘍に対する治療選択肢が増えることは、患者さんと医師にとって極めて重要な意味を持つ。

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