武田薬品は8日、皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤について、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制に対する製造販売承認申請を厚労省に行ったと発表した。対象は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)。
なお、同社は同剤について、本年2月14日に、「無又は低ガンマグロブリン血症」を予定する効能又は効果として、厚労省に対し製造販売承認申請を行っている。
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)は、末梢神経系に影響を及ぼす希少で後天的な免疫介在性の神経筋疾患である。四肢の遠位および近位における脱力、ピリピリ感または感覚消失、反射消失、歩行困難など、進行性の左右対称性の症状を典型的な特徴とする。
多巣性運動ニューロパチー(MMN)も、CIDPと同じく末梢神経に障害が生じる神経炎である。MMNは、CIDPと異なり、左右非対称の運動障害が主で、感覚が障害されることはないか、障害があっても軽度である。
同剤は、皮下注用人免疫グロブリン10%製剤(SCIG10%)および遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20製剤(rHuPH20)から構成される皮下注用の組み合わせ製剤で、2種のバイアルが同梱されている。
rHuPH20を投与し皮下組織の透過性を一時的に高め、その後同じ部位にSCIG10%を投与することで、SCIG10%の拡散と吸収が促進され、大量投与が可能になる。大量投与により投与頻度が従来の皮下注用人免疫グロブリン製剤に比べて少ない2週から4週間隔となり、患者の負担の軽減が期待される。
今回の製造販売承認申請は、日本人のCIDP患者およびMMN患者を対象とした国内P3試験(TAK-771-3002試験NCT05084053)、ならびにCIDP患者を対象とした海外P3試験、P2試験(161403試験NCT02549170および161505試験NCT02955355)に基づいて行っている。
これらの試験において、同剤は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)に対する治療薬としての有効性、安全性が評価された。
◆廣田直美武田薬品PDTビジネスユニット R&D Japan リージョナルヘッドコメント
SCIG10%とrHuPH20の組み合わせ製剤が承認されれば、投与頻度が2週~4週間隔となり、CIDP/MMN患者さんの負担軽減が期待できる。なお、本剤は、2024年2月14日に、「無又は低ガンマグロブリン血症」を予定する効能又は効果として、厚労省に対し製造販売承認申請を行っている。40カ国以上で承認されている本剤を無又は低ガンマグロブリン血症およびCIDP(MMN)患者さんの新しい治療選択肢として、少しでも早くお届けできる日を心待ちにしている。